乾湿計

乾湿計について

乾湿計（かんしつけい）とは、二本の温度計を用いて湿度を測定する装置で、主に乾球と湿球の温度を測定することで相対湿度を算出します。これらの温度計は同一の構造と精度を持って並行に配置されており、一方の温度計の感温球には湿らせたガーゼが巻かれています。この仕組みにより、乾球温度（気温）と湿球温度（湿度を含む状態）の差を利用して湿度を測定することができます。

測定の仕組み

湿球温度は水蒸気の蒸発によって常に乾球温度よりも低く示されるのが一般的ですが、氷点下では逆に湿球温度が乾球温度よりも高くなることがあります。乾湿計の実用範囲は気温0〜50℃、相対湿度10〜95％と幅広く、特に一般的な温度や湿度の条件下で利用されることが多いです。ただし、極端な条件下では測定誤差が大きくなるため、注意が必要です。

湿度の正確な測定には、スプルンクの式を用います。この式では、乾球温度、湿球温度、気圧が関与し、適切な環境条件と適正なガーゼの使用が求められます。ガーゼには木綿100％を使用し、油分や糊気が取り除かれたものが最も適しています。汚れたガーゼや不純物を含む水を使用すると、測定誤差が増えてしまうため、精製水の使用が推奨されます。

主要な種類

乾湿計には、いくつかのバリエーションがあります。

アウグスト乾湿計

アウグスト乾湿計は、湿球と乾球が大気中に開放されているタイプです。主に湿度管理や気象観測、空調設備の確認に使われます。一般には風や直射日光の影響を受けにくい場所に取り付けられます。業務用のものは相対湿度±5％未満の精度が求められる一方、家庭用は±10％未満とされています。

アスマン通風乾湿計

アスマン通風乾湿計は、通風が確保されるように設計されており、温度に対する影響を最小限にします。この装置は風の影響を受けにくいため、移動しながらの環境測定に適しています。通風機は電動式と機械式のものがあり、一定の風速を維持する必要があります。

気象庁形通風乾湿球湿度計

この装置は気象庁の標準に基づいて設計されており、特に強制通風を行う構造を持っています。最新では、電気式の温度計と湿度計が使用され、より正確なデータを得ることが可能です。

振り回し式乾湿計

振り回し式乾湿計は、屋外での気象測定に特化しており、手動で回転させて測定を行います。

まとめ

乾湿計は環境測定や気象観測、各種産業での湿度管理において重要な役割を果たす装置です。正確な測定を行うためには、装置の選定や使用するガーゼ、湿潤材料に細心の注意を払う必要があります。

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