亀井正夫

亀井正夫（かめい まさお）

概要

亀井正夫は、1916年4月20日に兵庫県神戸市で生まれ、2002年6月23日に生涯を閉じました。彼は、住友電気工業の元社長・会長であり、その経営手腕は高く評価されています。また、国鉄再建監理委員会委員長として、国鉄の分割民営化という難題に取り組み、その実現に大きく貢献しました。さらに、関西国際空港株式会社の元会長や社会経済生産性本部の元会長など、多くの要職を歴任し、日本の経済界において重要な役割を果たしました。

生い立ちとキャリア

旧制第一神戸中学校、旧制第六高等学校を経て、1939年に東京帝国大学法学部を卒業。同年、住友本社に入社しました。その後、1946年に住友電気工業に入社し、1973年に社長、1982年に会長に就任。1991年まで相談役を務めました。1992年には日本生産性本部会長に就任し、2001年からは住友老壮会会長を務めました。この間、国鉄再建監理委員会委員長として、国鉄の分割民営化を推進し、また、政治改革推進協議会会長として小選挙区制導入にも尽力しました。

国鉄改革への取り組み

1981年から1983年にかけて、第二次臨時行政調査会の第3部会長として、地方行政組織、許認可、補助金問題などに取り組みました。その後、土光敏夫会長からの要請で、国鉄再建監理委員会の委員長に就任。当時、国鉄は累積債務37兆円を抱え、深刻な経営危機に陥っていました。亀井は、国鉄の分割民営化という大胆な改革を実行し、30万人いた国鉄職員を18万3千人体制にスリム化しました。その過程で、脅迫状や脅迫電話、国会での野党からの厳しい質問など、多くの困難に直面しましたが、「一人も路頭に迷わせない」という強い信念のもと、職員の再雇用にも尽力しました。1987年4月1日、国鉄は地域別の旅客6社と貨物部門のJR貨物に分割民営化され、37兆円の債務のうち36兆円が国鉄清算事業団に引き継がれました。

被爆体験

1945年8月6日、亀井は法務見習い士官として広島城内の将校宿舎にいました。その日、原子爆弾が投下され、爆心地からわずか340メートルの距離で被爆しました。同僚9人が全員圧死する中、亀井は梁と梁の間に挟まれたことで奇跡的に生き残りました。終戦後、放射線の影響で頭髪が抜け落ち、高熱に苦しみましたが、翌年3月には奇跡的に回復し、大阪に戻り住友電気工業に採用されました。被爆者手帳を所持しており、子供が生まれた際には、放射線の影響を心配し体の状態を確認したというエピソードも残っています。

栄典と著書

その功績が認められ、1976年に藍綬褒章、1986年に勲一等瑞宝章、1994年に勲一等旭日大綬章を受章しました。また、『和魂洋才のすすめ』や『改革への道−−経営と行革』など、著書も残しています。

まとめ

亀井正夫は、その類まれなリーダーシップと改革への情熱で、日本の経済と社会に大きな足跡を残しました。国鉄の分割民営化や小選挙区制導入など、歴史的な改革を成し遂げただけでなく、被爆者でありながらも奇跡的に生還し、戦後の復興に貢献した人物として、後世に語り継がれるでしょう。

もう一度検索