亀山始

亀山始（かめやま はじめ）は、1948年に生まれた日本の造園系地方公務員です。長年にわたり、公共部門で都市の緑地空間整備に尽力し、日本の公園行政や管理運営の進歩に貢献しました。

亀山氏は、1971年に千葉大学園芸学部造園学科を卒業後、大阪府庁に入庁し、公務員としてのキャリアをスタートさせました。大阪府庁では、主に公園行政の分野でその専門性を発揮しました。特に注目されるのは、2000年代に入ってからの取り組みです。当時、府営公園の管理運営における効率化が課題となる中で、亀山氏は管理事務所の運営を外部に委託する、いわゆるアウトソーシング化に積極的に取り組みました。これは、後に全国的な制度となる指定管理者制度が本格的に導入されるよりも以前からの先駆的な試みであり、地方自治体における公園管理のあり方に対する新たな視点をもたらすものでした。これらの実績を積み重ね、2005年時点では大阪府土木部公園課長を務めるなど、府内の公園緑地政策の中枢で指導的な役割を担いました。公務員として、府民が利用する公園の質の向上と維持管理体制の強化に大きく貢献しました。

大阪府庁を退職した後も、亀山氏は公園緑化分野での活動を精力的に続けました。まず、大阪府公園・都市緑化協会の理事長に就任し、広範な視点から大阪府における公園緑地の普及・振興に尽力しました。さらに、2016年には特定非営利活動法人（NPO法人）楽庭楽園の代表となり、より地域に根差した活動や市民参加型の公園づくり、緑地の活用促進に取り組んでいます。これらの公務外での活動は、長年の行政経験で培った知識とネットワークを活かし、多様な主体との連携を通じて日本の公園緑地分野のさらなる発展を目指すものです。

亀山氏の長年の功績は、公的にも高く評価されています。特に、公園管理運営の近代化に向けた取り組みや、公園をあらゆる人が利用しやすい空間とするためのユニバーサルデザインの推進、そして地域社会と連携した効果的な公園運営を目指すパークマネジメントの概念普及などが挙げられます。これらの顕著な貢献が認められ、2013年には第35回日本公園緑地協会北村賞が授与されました。北村賞は、日本の公園緑地に関する分野で特に優れた業績を挙げた個人に贈られる、この分野で最も権威ある賞の一つであり、亀山氏の功績の大きさを証明するものです。

また、亀山氏は自身の豊富な実務経験や研究成果を基に、公園づくりやその管理運営に関する専門書籍を複数の研究者や実務家と共著で発表しています。主な著書としては以下のものが挙げられます。

『人にやさしい公園づくり―バリア一フリーからユニパーサルデザインへ』（鹿島出版会、1996年）
『やさしい人をつくる公園へ ユニバーサルデザインの展開』（新樹社, 2004年）
* 『パークマネジメント -地域で活かされる公園づくり-』（学芸出版社、2011年）

これらの共著は、公園におけるバリアフリーやユニバーサルデザインの重要性、そして地域との連携による効果的な公園管理手法であるパークマネジメントといった、現代の公園緑地分野における重要なテーマを深く掘り下げています。専門家だけでなく、広く公園づくりに関心を持つ人々にとっても貴重な情報源となっており、日本の公園緑地のあり方に関する議論の深化や、次世代の実務家・研究者の育成に貢献しています。

このように、亀山始氏は造園系地方公務員として、大阪府の公園行政における管理改革を先導し、退職後もNPO活動などを通じて公園緑地の振興に尽力しました。その功績は受賞歴や共著によって広く知られており、日本の公園緑地分野の発展に多大な足跡を残した人物として位置づけられます。

もう一度検索