亀山社中 (バンド)

亀山社中（かめやましゃちゅう）は、日本の著名なシンガーソングライター、さだまさし氏の音楽活動を長きにわたり支え続けた専属バックバンドです。

バンド名の由来とそのルーツ

バンド名である「亀山社中」は、さだ氏の出身地である長崎市に存在した歴史的な結社にちなんで名付けられたものです。さだ氏がかつて通学していた長崎市立伊良林小学校の近隣に亀山社中跡があることから、この名称が選ばれたとされています。バンドの歴史は古く、その前身は、メンバーが固定された段階で「サーカス」と名付けられたバンドに遡ります。しかし、同名のグループが世に知られるようになったことから、このバンドは「元祖サーカス」と改称。その後、さらに名称を「ふりーばる〜ん」と改めて、さだ氏のバックバンドとしての活動を続けていました。

悲劇、そして新たな出発

「ふりーばる〜ん」として活動していた時期、バンドは一つの大きな試練を迎えます。1983年、バンドのリーダーであり、エレキギターを担当していた福田幾太郎氏が不慮の事故により急逝しました。この悲劇を受け、バンドメンバーは深い悲しみと向き合いながらも活動を続けることを選択。新たなギタリストである立山健彦氏が加入するまでの間、メンバーの総意として、エレキギターのパートを欠番とする異例の体制で演奏を続けました。この困難な時期を経て、バンドは結束を強め、「亀山社中」として新たなスタートを切ることになります。

活動の黄金期と変化

亀山社中は、さだまさし氏のレコーディングやコンサートにおいて、その音楽性を深く理解し、表現力豊かな演奏でさだサウンドを支えました。特に、1990年に発表されたさだ氏のアルバム『夢回帰線II』では、収録曲全ての演奏に全面的に協力するなど、重要な役割を果たしました。しかし、1990年代前半頃から、さだ氏のバックバンドを構成するミュージシャンに徐々に変化が見られるようになり、「亀山社中」というバンド名が公式に使用される機会は減少していきました。これは、一つのバンド形態から、より柔軟なサポート体制へと移行していった時期と言えます。

時を超えた再会、そして現在

一度はバックバンドとしての名称使用が途絶えた亀山社中でしたが、メンバー間の絆が途切れることはありませんでした。そして、2002年に開催されたさだまさし氏のデビュー30周年を記念する大規模なコンサート「月虹～moonbow」において、彼らは再び集結しました。記念コンサート全七夜のうち、第五夜にサプライズゲストとして「亀山社中」が登場し、往年のファンを大いに感動させました。この再結成を機に、バンドは完全に活動を停止したわけではなく、現在も不定期ながらメンバーが集まり、共に演奏する機会を設けています。ライブ活動などを通じて、彼らの奏でるサウンドは今も続いています。なお、現在のさだ氏の主なコンサートバックバンドは「さだ工務店」という名称で活動しており、亀山社中とは異なる編成となっています。

バンドを支えた音楽家たち

亀山社中を構成したのは、さだまさし氏の音楽世界を支える卓越した技術を持つミュージシャンたちでした。主なメンバーは以下の通りです。

エレクトリックベース / バンドリーダー: 福田郁次郎
エレクトリック・ギター: （前身バンド時代から参加した福田幾太郎 → 後に加入した）立山健彦（楽曲によってはアコースティック・ギターも担当）
アコースティック・ギター: 坂元昭二（楽曲によってはエレクトリック・ギターも担当）
ピアノ・キーボード: （初期の信田かずお → ）石川清澄
マリンバ・パーカッション、キーボード: 宅間久善
ドラムス: （前身バンド時代から参加した山本富士男 → 後に加入した）井上広基

特に、ギタリストの福田幾太郎氏とドラマーの山本富士男氏は、亀山社中の前身となるバンド時代からさだ氏を支え続けた初期メンバーであり、バンドの長い歴史を象徴する存在でした。彼らの演奏は、さだまさし氏の数多くの名曲に彩りを添え、日本の音楽シーンにおいて重要な足跡を残しています。

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