予備審問

予備審問とは

予備審問（よびしんもん、英: preliminary hearing）は、主にコモン・ローの国々で実施される刑事訴訟における重要な手続きの一つです。この手続きでは、訴追のために必要な証拠が十分かどうかを判断します。具体的には、正式な裁判が始まる前に、裁判官が提供された証拠に基づいて起訴の妥当性を審査する役割を担っています。

フランス法との違い

類似の手続きとして、大陸法系の国々に見られる予審（よしん、独: Gerichtliche Voruntersuchung）が存在します。しかし、予備審問と予審との間には大きな違いがあります。予備審問では、裁判官が捜査機関から提出された証拠によって判断を下すのに対して、予審では、予審判事が自ら証拠を収集することが求められます。このため、予審の方がより積極的な役割を持っています。

予備審問の意義

この制度は、イギリスにおける私人訴追の原則に基づき、濫訴を防止するために設けられました。その後、アメリカやその他の国々に広がり、今日の形に発展しました。アメリカ合衆国では、大陪審による起訴が憲法上の要件として定められていますが、州裁判所では予備審問を用いることが一般的です。この手続きでは、裁判官（多くの場合、治安判事）が起訴の可否を判断します。予備審問で証拠が不十分とみなされた場合、被疑者は起訴されませんが、後に証拠が追加された場合には再審査が行われることがあります。

アメリカにおける規定

アメリカ合衆国憲法修正第1条が保証するアクセス権により、予備審問は公開で行う必要があります。この公開の原則に反する場合は、特定の理由が求められ、政府の利益を保護するために限られた手段で行われる必要があります。

日本の予審制度

日本の刑事訴訟制度では、1880年に制定された治罪法に基づいて予審制度が始まりました。この制度はフランス法の影響を受け、1890年の旧刑事訴訟法に継承されました。ただし、治罪法のもとでは強制捜査の権限は予審判事に与えられるものであり、数々の改正を経て、最終的に1949年の新刑事訴訟法の施行により予審制度が廃止されました。

フランスにおける予審

フランスでは、重罪事件における予審が設けられています。この手続きでは、予審判事が強制的な証拠収集や容疑者への尋問を行い、事案を裁判に回すかどうかを判断します。2000年には、重罪事件における手続きが見直され、より柔軟な形で運用されるようになりました。予審判事は今日でも重要な役割を果たしていますが、銀行口座等の調査など、他の判事によるチェックが必要とされるような制度改正も行われました。

まとめ

予備審問は、国ごとにその構造や役割が異なるため、国固有の法律文化を反映した制度といえます。起訴の妥当性を慎重に審査するこの手続きは、法的手続きの信頼性の向上や無実の者の権利を守るために欠かせないものです。

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