事前旅客情報システム

事前旅客情報システム（APIS）

事前旅客情報システム（APIS）は、政府機関と航空会社が連携して運用する情報共有システムであり、出発空港で搭乗する旅客の個人情報（名前、生年月日、性別など）を、航空機が目的地に到着する前に、到着空港の警察や税関、入国管理局へ送信します。この仕組みは、出入国管理の厳格化、税関での検査、さらに国際的な犯罪やテロリズムへの対応を効率的に行うために設けられています。

APISの導入状況と運用

このシステムはアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、南韓など、世界中の多くの国で普及しています。日本においては、2005年1月4日に、財務省（税関）、法務省（入国管理局）、警察庁の協力により運用が始まりました。当初は航空会社の任意での情報提供でしたが、2007年2月1日からは義務化されました。

APISでは、旅客情報とともに、以下のような重要なリストとの照合が行われます。

• - 警察庁：指名手配リストや国際刑事警察機構（ICPO）の手配リストなど
• - 出入国在留管理庁：退去強制処分対象者リストなど
• - 税関：関税法違反摘発リストなど

この照合プロセスで該当する人が見つかった場合、各機関が連携し、適切な対応を取ることができます。

APIS導入の効果

APISの導入によって得られた効果は多岐にわたります。主なものを以下に示します。

• - テロリストや不法入国者、フーリガンなどの上陸を防止：事前に情報を取得することで、リスクの高い人物を特定し、上陸を阻止することが可能になります。
• - 密輸の防止：輸入禁制品などの密輸に対する対策が強化され、国境での違反行為を未然に防ぐ手助けとなります。
• - 指名手配被疑者の早期発見：国際的な組織犯罪やテロの取締りが強化され、指名手配の人物が発見される確率が向上します。
• - 上陸審査の迅速化：到着時に必要な情報が事前に整備されているため、上陸審査がスムーズに進むことが期待されます。

APISは、出入国管理の強化だけでなく、旅行者の安全を守るための重要な役割を果たしています。今後も各国間での協力が求められ、旅行者の安全と法的保護が維持されることが期待されます。

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