事業所内保育所

事業所内保育所とは

事業所内保育所は、企業内保育所とも呼ばれ、主にその企業で働く従業員の子どもたちを預かることを目的として、事業所の敷地内やその周辺に設置される保育施設です。企業が従業員の仕事と育児の両立を支援するために設けられる福利厚生の一環として、古くから存在していました。

制度の変遷と位置づけ

かつて、事業所内保育所は行政による認可を受けていない「認可外保育施設」として運営されていました。しかし、多様な保育ニーズへの対応と企業の取り組み促進のため、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」において、「地域型保育事業」の一つとして明確に位置づけられました。これにより、「事業所内保育事業」として、国の基準に基づいた運営が可能となったのです。なお、新制度への移行を選択せず、引き続き認可外施設として運営されている事業所内保育所も存在します。本稿では、主に新制度に基づき運営される事業所内保育事業について解説します。

新制度に移行した事業所内保育事業は、その受け入れ定員によって適用される基準が異なります。定員20名以上の場合は認可保育所に準じた基準、定員20名未満の場合は地域型保育事業の小規模保育事業（A型、B型）に準じた基準が適用されます。

新制度による主な変更点

新制度への移行は、事業所内保育事業にいくつかの変化をもたらしました。一つは、管轄官庁が従来の厚生労働省から内閣府へ移管されたことです。もう一つは、従業員の子どもだけでなく、地域に住み、保育を必要とする子どもたちも「地域枠」として受け入れが可能になった点です。これにより、施設の空きを地域の子育て支援にも活用できるようになりました。地域枠の子どもの受け入れ割合は、定員の4分の1までと定められています。

企業主導型保育事業との違い

事業所内保育事業と名称が似ており、混同されやすい制度に「企業主導型保育事業」があります。こちらも企業が設置する保育施設ですが、子ども・子育て支援新制度とは別の枠組みで、内閣府が主導する事業です。両者には、設置手続き、国の助成、職員配置基準、地域枠の割合などに違いがあります。


企業主導型保育事業は、認可手続きが不要で、設置に対する国の助成が手厚いという特徴があります。一方、事業所内保育事業（地域型）は、既存の地域における保育提供体制との連携がより図られやすい制度と言えます。

結び

事業所内保育所は、働く保護者の子育てを支援し、企業にとっては人材確保や定着に貢献する重要な役割を担っています。新制度により地域の子どもも受け入れるようになったことで、その役割は地域全体の子育て支援にまで広がりました。企業の保育施設設置は、子育て支援と企業経営の両面から、今後ますます重要性を増していくでしょう。

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