二・四事件

二・四事件の詳細とその影響

概要

二・四事件（にしじけん）は、1933年の2月4日から約半年間にわたり、長野県内で多くの教員が治安維持法違反の罪で逮捕された一連の出来事です。この事件では、長野県内における日本共産党や日本共産青年同盟、日本プロレタリア文化連盟、さらにはさまざまな労働組合や農民組合が標的になりました。特に、教員に対する弾圧は非常に厳しく、608名の逮捕者のうち230名が教職に従事していました。このため、この事件は「教員赤化事件」や「左翼教員事件」とも呼ばれています。

起訴と有罪判決

事件初期の段階で、検挙された教員の中から28名が起訴され、13名が有罪判決を受けて服役しました。また、115名の教員が何らかの行政処分を受け、その中で懲戒免職や諭旨退職という形で33名が教壇を離れざるを得ませんでした。その後、全国各地でも同様の弾圧が広がり、教員に対する尾ひれがつく結果となりました。

背景

長野県においては、大正時代から自由主義教育が広まっていましたが、1930年代に入ると新興教育運動が活発化し、特に左派的な教育理念が組織的な形で広がりを見せました。1931年秋には新興教育研究所（新教）の支部が設立され、さらに1932年には日本労働組合全国協議会（全協）の傘下にある日本一般使用人組合教育労働部長野支部が形成されました。

しかし、満州事変の勃発を受け、社会主義運動や労働運動が抑圧される中、治安維持法を名目とした教員への検挙が始まりました。特に1933年1月の検挙を契機に、長野県内の全協及び共産主義の組織に対する徹底的な取り締まりが行われ、2月4日に86名が逮捕されました。

教員の反応と影響

教員たちの組織は、教育理念や教材、さらには特定の人物に対する批判活動を展開しており、その影響は他の教員にも波及していました。この運動は、特に反戦や軍国主義に反対する姿勢を持った教員が多く、農村部における貧困問題改善への取り組みが信頼を集めていました。たとえば、名取簡夫というユーザーの逮捕により彼を慕っていた生徒たちの間で「同盟休校」が行われ、その後、警察に出向いて名取の解放を求める行動が見られました。

また、弾圧を受けた教員の中には、直接の政治活動には関与していない教員も多く、絵画や詩、哲学に関する研究を行っていた者も含まれました。これにより、無関係な教員や用務員までが解雇されてしまう事態が発生しました。最終的に長野県内での検挙者は378人に達し、送検されたのは275人、起訴されたのは91人でした。

結果

二・四事件の影響は長期にわたり、長野県の教育環境を一変させました。この弾圧は新興教育運動だけでなく、自由主義的な教育の伝統までも消失させ、国の戦争協力体制への大きな傾斜を示す結果となりました。教育界に残された教員たちも、厳しい環境の中で新しい教育理念を模索せざるを得なくなりました。多くの優れた教員が反戦の意志を持ちながらも弾圧に抗えず、彼らの信念がどのように記憶されるのかは今後の課題です。

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