二丈町

二丈町：玄界灘と山々に抱かれた歴史と自然の町

福岡県糸島市の西部に位置していた二丈町は、2010年1月1日に前原市、糸島郡志摩町と合併し、糸島市の一部となりました。佐賀県との県境に近く、福岡市と唐津市を結ぶルートの中間に位置する二丈町は、玄界灘の海岸線と、南に連なる脊振山地という、対照的な自然環境に恵まれていました。

自然と地理

町の東部は福岡市のベッドタウンとして住宅地開発が進みつつありましたが、西側は古くからの漁村の風情を残す、穏やかな地域が広がっていました。玄界灘に面した北部沿岸には、美しい砂浜や入り江があり、南部は山岳地帯で、二丈岳（711m）、十坊山（535m）、浮嶽（805m）、女岳（748m）などの山々が連なっていました。これらの山々は、豊かな自然と景観を生み出し、多くの動植物の生息地となっていました。

歴史と文化

二丈町の名称は、かつての一貴山村、深江村、福吉村の境にあった二丈岳に由来するとされています。1955年、この3村が合併して二丈村が発足し、1965年には町制施行により二丈町となりました。2010年の合併により、歴史に幕を閉じましたが、その歴史は、地域の文化や伝統として受け継がれています。

特に、松末五郎稲荷神社の12月に行われる「目隠し女相撲」は、独特の伝統行事として知られています。また、姉子浜の鳴き砂や、二丈温泉きららの湯（ラドン温泉）、深江海水浴場なども、多くの人々に親しまれてきました。

交通と経済

二丈町には、JR九州筑肥線が走り、一貴山駅、筑前深江駅、大入駅、福吉駅、鹿家駅がありました。中心駅は筑前深江駅で、町の交通の要衝となっていました。バス路線は、合併時点では存在しませんでした。

道路網としては、西九州自動車道（二丈IC（仮称）、二丈鹿家IC）、二丈浜玉有料道路、国道202号、福岡県道49号大野城二丈線などが整備されていました。西九州自動車道の建設は、町の経済活性化に大きく寄与することが期待されていました。

産業としては、農業、漁業に加え、木材、電気、建設、運輸などの企業がいくつか存在していました。鈴木木材店、片山電気、ほった電気、仁光自動車、二丈環境、サンエー（三菱電機系列）、アルバック九州、九州石井運輸、Studio Kura、江藤石油、藤栄建設、三苫舗道、田中組、ドリームコーポレーション（インターネットサービス）などが、町の経済を支えていました。

教育

教育機関としては、西日本短期大学二丈キャンパス、二丈中学校、福吉中学校、一貴山小学校、深江小学校、福吉小学校がありました。これらの学校は、地域の子どもたちの教育に貢献し、地域社会の発展に寄与していました。

町の将来

二丈町は、合併によって糸島市の一部となりましたが、その豊かな自然と歴史、そして人々の温かさは、今もなお糸島市の発展に貢献しています。かつての二丈町は、その歴史と自然を未来へと繋いでいく役割を果たしたと言えるでしょう。

著名な出身者

二丈町出身の著名人として、山崎元幹（南満州鉄道最後の総裁）、浦和重（ボート選手・2004年アテネオリンピック出場）などが知られています。

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