二人でお酒を

二人でお酒を

「二人でお酒を」は、1974年3月25日に発売された梓みちよのシングルです。この楽曲は、作詞が山上路夫、作曲が平尾昌晃によって生まれました。曲の内容は大人の恋愛模様を描いており、これによって梓は清純派から新しいイメージへと転換することに成功しました。その結果、梓のキャリアにとって重要な一曲となりました。

梓みちよは、成功したデビューシングル「こんにちは赤ちゃん」を1963年に発表したことで有名になりましたが、その後の11年は「その歌から抜け出せる日はいつなのか」と考える日々でした。そのため、梓は「自分を解放できる楽曲」を求めていました。そこで、彼女の所属事務所は、山上と平尾に「梓を脱皮させる」新しい楽曲の制作を依頼したのです。

山上は数日間悩み続けましたが、最終的には「酒好きの梓にぴったりな、お酒を楽しむ女性の姿を描くのが最適」と判断。演歌歌手のイメージを持つ梓に酒の歌を歌わせることには不安もあったものの、、新しいステージを開くためには挑戦が必要だと考えました。梓自身も、「酒が好きな自分に合っている」とすぐにこの歌を気に入ったと語っています。

この楽曲は、1974年のオリコンの年間ヒットチャートで第18位にランクインするなどの成功を収めました。これにより、梓は大晦日の『第25回NHK紅白歌合戦』に、1969年の第20回以来、5年ぶりの再登場を果たしました。また、年末の賞レースでも様々な賞を受賞し、ここでも彼女の人気は再確認されました。特にNov 1の『第1回FNS歌謡祭』では特別賞を受賞しました。

歌唱パフォーマンスの際、梓は歌の1番を歌い終えた後に胡坐をかいてパフォーマンスをするというスタイルが定着しました。この演出は、彼女自身が「女として胡坐をかく姿が面白そう」と考えたもの。初めてコンサートで試したとき、観客の笑いや反応を受けてこのスタイルを続けることになりました。紅白の舞台でもこのスタイルで演出し、視聴者たちの記憶に残る瞬間となりました。

また、1976年の『夜のヒットスタジオ』では、OPメドレーの最後にこの曲を披露し、他の出演者たちも胡坐をかいて応援するというユーモアあふれる光景が繰り広げられました。

ご参考までに、シングルのB面には「両手で愛して」という曲が収録されており、この曲の作詞は演出家で当時東京放送のプロデューサーだった久世光彦のペンネーム「小谷夏」によるものです。作曲は森田公一が担当しています。

このシングルには、他にも「夜のヒットスタジオ」や様々なカバーも存在し、多くのアーティストによってリメイクされ続けています。例えば、テレサ・テンや美川憲一、JUJUなどのアーティストがこの曲をカバーし、それぞれのスタイルで再解釈しています。こうした背景を通じて、梓みちよの「二人でお酒を」は音楽の歴史においても重要な位置を占めています。

もう一度検索