二人のムラサキ東京

二人のムラサキ東京：謎に包まれたデュエットと、東京の風景

2004年、キンモクセイの8枚目のシングルとしてリリースされた「二人のムラサキ東京」。この曲は、キンモクセイの伊藤俊吾と、当時「謎の覆面歌手」としてクレジットされた東京ジェンヌによるデュエットソングです。この東京ジェンヌの正体が誰なのか、リリース当時大きな話題となりました。

シングルは、カセットテープとCDの2形態で発売されました。カセットテープ版はA面に「二人のムラサキ東京」、B面にオリジナルカラオケが収録されています。CDシングルには、表題曲に加え、「愛の食事(New mix like 60's)」と「二人のムラサキ東京」のオリジナルカラオケが収録されました。「愛の食事(New mix like 60's)」は、キンモクセイのアルバム『風の子でいたいね』に収録されている楽曲のリミックスバージョンです。

東京ジェンヌの正体は、後に松たか子であることが明かされました。その発表の場となったのは、2004年4月25日に行われたキンモクセイの日比谷野外大音楽堂ライブ「スーパーライヴ 春だらけ、野音でジャンプ 森とビルと仲間達」でした。伊藤俊吾は、ライブで東京ジェンヌのために書き下ろした楽曲として松たか子の「黄昏電車」を紹介し、キンモクセイが同曲をカバー演奏。このパフォーマンスによって、東京ジェンヌの正体が松たか子であることが観客に明らかになったのです。

伊藤俊吾は、松たか子に「黄昏電車」を提供した実績があり、「二人のムラサキ東京」も、その関係性の中で生まれた楽曲と言えるでしょう。両楽曲は、どこか共通の雰囲気を感じさせるメロディーラインと、繊細な歌詞が特徴です。

「二人のムラサキ東京」のミュージックビデオでは、赤坂側から東京タワーや六本木ヒルズ方面を映す、ジャケット写真と同様のアングルが使用されています。ビデオに出演している女性は、女優の時任歩です。楽曲のレコーディング時、思いつきで録音されたという台詞パートも、曲に独特の雰囲気を与えています。

この曲は、2004年という時代背景の中で、東京の街並みや人々の生活を背景に、どこか懐かしいメロディーで構成されています。そのノスタルジックな雰囲気は、聴く者に郷愁を呼び起こすような、温かい気持ちにさせてくれます。

2004年7月21日には、ポカスカジャン＆ヒルタ・ナユミと魅惑の東京サロンが「二人のムラサキ東京」をカバー。ポカスカジャンの2枚目のシングルとしてリリースされました。彼らのカバーバージョンは、オリジナルとはまた違った魅力で、この楽曲の幅広い可能性を示しています。

「二人のムラサキ東京」は、キンモクセイと松たか子のコラボレーション、謎の覆面歌手、日比谷野外大音楽堂での発表など、数々の話題を生み出した楽曲です。その背景と、時代を感じさせるメロディー、東京の情景が織り込まれた歌詞は、音楽史における興味深い一例として、長く記憶されることでしょう。楽曲の構成やアレンジは、佐橋佳幸とキンモクセイによって手がけられています。

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