二十面相の娘

二十面相の娘

『二十面相の娘』は、小原愼司による漫画作品であり、その後テレビアニメ化もされた人気のシリーズです。2003年5月号の『コミックフラッパー』にて連載が始まり、2007年2月号まで続きました。作品は、江戸川乱歩の著作「怪人二十面相」と「少年探偵団」からインスピレーションを受けており、乱歩の孫からも許可を得ています。

概要

この物語は、連載開始前の2002年10月号に特別編として若干異なる内容の読みきり作品が掲載されたことからスタートしています。全8巻から成る本作は、さらに二つの番外編を展開しています。一つは、主人公が怪盗二十面相に加わっていた時代を描いた『二十面相の娘 うつしよの夜』（2007年11月号から2008年10月号連載）、もう一つは、本編のその後を描いた『二十面相の娘 少女探偵団』（2008年12月号から2009年6月号連載）です。

あらすじ

物語は、日本が戦後復興を果たし、繁栄し始める時期から始まります。富豪の令嬢、美甘千津子、通称チコは、幼い頃に両親を失い、叔父夫婦と暮らしていました。叔父夫婦はチコの財産を狙い、日々食事に毒物を混入して殺そうと企んでいました。聡明な彼女はその危険に気づき、食事を取らないことで抵抗しますが、徐々に衰弱していきます。

そんな彼女を見かねたのが、名高い怪盗二十面相でした。彼は美甘家の紅玉を盗むために潜入し、「一番の財産は千津子だ」と、紅玉と共にチコを連れ出しました。二十面相の盗賊団の一員として過ごすことになったチコは、優しい仲間たちに囲まれ、様々なスキルを学びながら楽しい日々を送ります。しかし、彼女の安寧の日々も長くは続きません。列車が虎という強盗団に襲撃され、二十面相は行方不明になってしまいます。

チコは私立探偵の空根太作に「保護」され、日本に戻されますが、待っていたのは命を狙う叔母との厳しい生活でした。そんな彼女の支えとなったのは、クラスメイトの小糸春華と世話役のトメでした。次第に、チコは二十面相の遺産を狙う陰謀に巻き込まれ、春華、トメと共に少女探偵団を結成。彼女たちは二十面相の行方を追い始めます。

キャラクター

美甘千津子（チコ）

本作の主人公で、資産家の娘。裁縫や料理、学業に優れた美少女でありながら、強い意志を持った少女です。二十面相に誘拐され、仲間たちと共に過ごす中で成長していきます。

小糸春華

チコの同級生で、初めはチコに嫉妬していましたが、危険な状況を知って友達となります。クラスメイトの中で彼女の冒険心を引き出し、探偵団結成に貢献します。

トメ

チコの忠実な世話係。彼女の安全を常に気遣い、二十面相一味の襲撃からチコを守ろうと奮闘します。

二十面相

本作の象徴的存在であり、真の美しいものを盗む紳士である怪盗です。彼は実質的な父親のようにチコを大切に思っていますが、多くの敵から狙われる身でもあります。

終わりに

『二十面相の娘』は、冒険と友情を軸に進む物語であり、登場人物たちの成長を通じて多くの感動と興奮を提供します。恋愛感情や悪との対立が絡み合う中で、チコの成長を描いたこのストーリーは、今なお多くの読者の心を掴んで離さない作品となっています。

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