二回投票制

二回投票制とは

二回投票制（two-round system）は、特定の公職（大統領や州知事、首長など）を選出する際の選挙方法の一つであり、主に候補者が一定の得票数に達しない場合に決選投票が行われる点が特徴です。この制度は、特にフランス大統領選挙での活用が広く知られています。

概要

一般的には、一回目の投票で候補者のうち誰もが所定数の支持を受けられなかった場合、得票数が上位の候補者によって再度決選投票を行います。この結果、初回に投票したものの中から選定された二人が再度競争し、そのうちの一人が必然的に過半数の支持を得て当選します。最初の投票によって一人でも所定の得票数を超える候補が現れた場合、決選投票は不要となります。

この手法の利点には、広範な支持を受けた候補者を選出する期待や、選挙における死票の抑制があります。しかし、一方で投票を二度行う必要があるため、手間とコストがかかるという欠点も存在します。たとえば、日本の自由民主党の総裁選においては、党員による予備選と国会議員による本選の二回投票制が採用されながらも、予備選での結果が強く影響し、実際には一回目だけで決着がつくこともあったと言われています。

フランスの例

フランスの国民議会の選挙では、決選投票に進む候補者が単純に上位二者ではなく、得票数が登録有権者の8分の1以上の候補者に拡大されることがあります。このため、選挙戦が三者以上の対決となることも多く、投票結果が相対多数で決まるケースもあります。これにより、複数政党が一定以上の支持を受け、そして最終的には二大政党制にブレンドされる形での選挙が可能となります。

ただし、最近ではフランスの政治情勢が変化し、極右の動きが影響を与えていることも注目されています。中道政党も条件次第では選挙独自の戦略を展開することがあります。

複数名選出時の制度

二回投票制は主に小選挙区制での使用が一般的ですが、2名以上の公職者を選出する選挙でも適用されることがあります。この場合、投票数を定数プラス1で割り、その商を超えた候補者が優先的に当選します。その後、残った当選者の数が基準に達しない場合、残る候補者による決選投票が行われます。このプロセスは比例代表制の一種で、特にスイスやイランでの適用例が見られます。

各国での採用例

二回投票制は世界中で様々な形で採用されています。アメリカでは、大統領選挙で過半数が得られない場合に下院で決選投票が行われ、アルゼンチンやインドネシア、ウクライナなどでも用いられています。また、フランスでは大統領や下院議員の選挙において広く実施されるほか、ポーランドやルーマニア、ブラジルでも適用されています。これらの採用例は、二回投票制が持つ公正性の期待を背景に行われていることを示しています。

おわりに

二回投票制は民主的な選択肢を強化するための手段として多くの国で受け入れられてきましたが、各国によって適用される条件や選挙システムの特性は異なります。それゆえ、この制度の導入にあたり、国ごとの政治的背景や文化が重要な要素となります。

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