二天流

二天流の概要と歴史

概要

二天流（にてんりゅう）は、豊前小倉藩で伝承される剣術の流派で、その起源は宮本武蔵に遡ります。この流派は、二刀剣術だけでなく、一刀の剣術も教えています。特に、豊前小倉藩における二天流は、熊本藩で伝承された山東派二天一流とは異なる特徴を持っています。防具を着用し、袋竹刀を使って型を打つこともまた、二天流の重要な技術の一つです。武蔵の中年期の技術を基盤としており、実際の決闘を通じて磨かれた素早い剣風が特徴です。二天流には表と裏を含めて約20本の型が存在し、藩校の思永館や育徳館でも学ばれていました。

歴史

二天流は、宮本武蔵が開いた流派として知られています。武蔵は若い頃から、豊前国田川郡にある親戚の墓を訪れ、そこで道場を設立し、藩士たちに剣術を教えました。その後、細川家が豊前と豊後に移封された際には、武蔵の父である新免無二も武芸指導者として関与していました。武蔵は有名な佐々木小次郎との巌流島での決闘を経て、さらに剣術の探求を続けました。

武蔵が細川家の招きで再度小倉を訪れた際には、8年間を小倉で過ごしました。この間、彼は島原の乱に参加して実戦経験を積み、自らの兵法を「兵法書付」としてまとめるなど、多方面での研究を重ねました。この結果、小倉の地で根付いたのが二天流の剣術です。

流派の歴代の伝承者については、さまざまな考え方がありますが、第8代の秋満紫光が「伝承者に伊織という名前の人間がいた」と述べたことから、宮本伊織が伝承者とされることが一般的です。しかし実際に伊織の名を継承したのは5代目の松井伊織です。歴代の伝承者には、2代の青木常次左衛門、3代の吉岡右近将監、4代の松井佐渡守、5代の松井伊織、6代の竹村岩次郎、7代の上村貫次郎が含まれます。

特に、6代の竹村岩次郎は二天流に留まらず、方円流や柳剛流も修め、独自に方円流の拳法を創始しました。彼は第2次長州征伐において小倉藩が幕府軍として戦った際に功績を上げ、その後育徳館の師範も務めました。

7代の上村貫次郎は、若い頃から二天流の修行に励み、他流試合を経験して免許皆伝を取得した後、竹村の後を継いで育徳館の剣術教導師としての役割を果たしました。また、彼は教育者としても活動し、自由民権思想の普及に貢献しました。彼は東京でも天覧試合に出場し、皇居警察や憲兵隊への剣術指導も行いました。

現代の二天流は、東京などに伝承者が存在し、剣術としての技術や理念が引き継がれています。流派は、武蔵の直系としての伝統を感じさせるものとなっており、その歩みは今も続いています。

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