方円流
方円流（ほうえんりゅう）
方円流は、筑後の小倉藩士である直守一（あたい もりかず）が設立した武術の流派です。この流派は、剣術や槍術、薙刀術、棍棒術、杖術、体術、捕手術、そして拳法など、多様な武術を教え、伝承してきました。直守一の出発点は七歳のとき、神宮院法印霊芝から書の学びに始まりました。彼は庭木に釘を投げることによって手裏剣術にも興味を示しました。
その後、直守一は小倉藩士の浦野一歩に師事し、制剛流を学びました。浦野一歩は眼心流剣術、以心流居合、宝蔵院流高田派槍術、無眼流剣術、無天流剣術などに習熟した達人であり、その教えを受けた直守一は、自らも印可を得た後、諸流十六流を極め、さらに制剛流の要を取り入れながら独自の秘訣を見出しました。
1782年、天明2年に直守一は「方円流」なる流派を創設しました。「方円流」の名称は、「異同相応じ虚実相依る」との深い意味が込められています。この流派は、直守一の指導のもと、二千人を超える門人を教え育てました。直守一は、その教えを通じて道歌を詠むことを通じて人を導き、弟子たちが勝負にこだわることや他人を侮ることを戒めたと言われています。
弘化4年（1847年）に、直守一は95歳で逝去しました。彼は最後まで愛用の木刀を手放すことはなかったと伝えられています。道統は、息子の上田如雲守身が引き継ぎました。直守一の流派からは、後に二天流の6代宗家である竹村岩次郎が拳法を創始することにもつながります。
現在、方円流がどの程度伝承されているかは不明ですが、最近まで継承者が存在したとの情報もあります。また、興味深いことに、伊予大洲藩士である武知吉太夫が創設した同名の流派もあり、こちらは捕縄術、杖術、鎖術を伝えています。一方で、佐賀藩にも同様の名称の砲術流派が存在しました。
戦後には、全日本古武道連盟に方円流の伝承者である伊藤茂策が所属し、各地の大会で方円流の演武を行っていました。彼は、四代目の篠原重兵衛一正、通称柳円斎の弟子でもあり、方円流の伝承と普及に寄与した人物として知られています。
主な修行者
参考文献
- - 宇津宮泰長『小倉藩文武学制沿革誌』、鵬和出版、1999年
- - 山崎有信『豊前人物志』、国書刊行会、1981年
- - 綿谷雪・山田忠史『武芸流派大辞典』、新人物往来社、1969年
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