二宮寛

二宮 寛の生涯と業績

概要

二宮寛（にのみや ひろし）は、1937年2月13日生まれの元サッカー選手及び指導者で、東京都出身です。彼は日本サッカー界において重要な役割を果たし、高い知性を生かしながら指導者として活躍しました。特に、日本代表監督としての改革に尽力したことで知られています。

来歴

二宮は慶應義塾大学法学部政治学科に在籍中の1957年10月23日に、日本代表として初めて試合に出場しました。1959年には三菱重工に入社し、サッカー部に参加しました。同年に開催された全日本実業団サッカー選手権大会では、準優勝に貢献し、注目を集めました。

1968年からは選手兼任監督として三菱で指揮を執りましたが、成績が思わしくなかったため、同年夏に現役を退き、監督業に専念しました。彼の指導の下、三菱は日本サッカーリーグ（JSL）で2回の優勝、天皇杯で2回の優勝を果たすなど、明確な成果を上げました。特に、1976年から1978年までの期間、日本代表監督を務めました。

この時期、二宮が引き受けた日本代表チームは、1968年メキシコ五輪で銅メダルを獲得したメンバーの多くが去ってしまい、チームは非常に苦しい状況にありました。代表エースのFW釜本邦茂も33歳に達し、自ら代表を引退することに決めてしまったため、その状況を「荒れ野に放り出された気分」と表現しました。

指導者としての業績

二宮は代表監督に就任した当初から、サッカー指導に対する新しいアプローチを模索しました。彼が最初に取り組んだのは、ブンデスリーガの複数クラブに代表候補選手を短期間預けるという分散合宿の実施でした。これは、当時「世界最強リーグ」として評価されていたドイツのクラブでの高レベルな練習を日本人選手に体験させる、革新的な試みでした。

さらに、二宮は選手たちに「代表であることの意義」を理解させるために、環境の整備にも力を入れました。練習着の統一や食事の改善など、選手たちが代表チームの一員であることの誇りをもって取り組めるような環境を整えました。しかし、貴族的だと見なされたこの方針は、JFAの幹部から反発を受け、「甘やかしている」との評価を残しました。成績が伴わず、協会の支持を失った結果、二宮は監督を辞任することになりました。

ビジネスキャリア

サッカー指導者としてのキャリアが終わった後、二宮は三菱自動車に転職し、その後は欧州三菱社長として国際的なビジネスマンとして成功を収めました。知的な能力を生かし、主にヨーロッパを中心に活躍しました。

2000年に同社を退職後は、神奈川県葉山町に移り、コーヒーショップ「パッパニーニョ」を経営しています。この店舗名は、彼が尊敬するフランツ・ベッケンバウアーに由来します。日本代表監督時代には、ドイツにおいて奥寺康彦の移籍を支援し、当時のドイツサッカー界に多くの知人を持つなど、国際的なネットワークを活かした活動を行っていました。

2015年9月には、日本サッカー殿堂に選出され、その業績を称える掲額を受けました。彼のサッカー界及びビジネスに対する貢献は、日本における二宮の名声を確立させる重要な要因となっています。

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