二宮常雄

二宮常雄：日本のアニメーション史に名を刻んだ巨匠

1940年生まれの二宮常雄氏は、日本のアニメーション業界において、長きに渡り活躍したベテランアニメーター、キャラクターデザイナーです。2023年9月、83歳でその生涯を閉じましたが、彼の残した功績は、日本のアニメ史に燦然と輝き続けることでしょう。

揺るぎない情熱と技術

東京都出身の二宮氏は、東京デザイナー学院夜間部在学中にアニメ業界へ足を踏み入れます。当初は下請け会社で働き始めますが、持ち前の才能と熱意で、やがてピープロダクションへ。その後フリーとなり、数々のスタジオを渡り歩き、自身の作風を確立していきます。

特に、タツノコプロでの活躍は目覚ましく、『ハクション大魔王』や『いなかっぺ大将』といった人気作品に参加。特に『いなかっぺ大将』では、総監督の笹川ひろし氏の要請を受け、自身の個性を前面に押し出した作風は、多くの視聴者の心を掴みました。

その後も、『科学忍者隊ガッチャマン』では宮本貞雄氏の下でリアルなキャラクター描写を学び、『破裏拳ポリマー』など、数々のタツノコ作品で活躍。その高い技術力と表現力は、ファンクラブができるほどの人気を集めました。

1982年には自身の作画スタジオ「二宮事務所」を設立しますが、数年後に解散。その後はスタジオぴえろ（現・ぴえろ）を拠点に活躍を続け、作画室長や福岡分室指導アニメーターを歴任しました。2014年に再びフリーとなり、2019年頃まで第一線で活躍し続けました。

仕事への情熱と独特のスタイル

二宮氏の作画スタイルは独特でした。作業中は音楽を聴きながら描くことを基本としており、没頭しすぎて鼻歌が歌になってしまっていたという逸話も残っています。「歌うアニメーター」という愛称で親しまれていたこともあったようです。このエピソードからも、彼の仕事への情熱と、没頭する集中力がうかがえます。

幅広い作品への参加

二宮氏の参加作品は多岐に渡り、その数は膨大です。代表的な作品だけでも、『ハクション大魔王』、『いなかっぺ大将』、『科学忍者隊ガッチャマン』、『破裏拳ポリマー』、『タイムボカンシリーズ』、『装甲騎兵ボトムズ』、『超攻速ガルビオン』など、数えきれません。

テレビアニメ、OVA、劇場アニメなど、様々なフォーマットの作品に参加し、作画、作画監督、キャラクターデザインなど、幅広い役割を担っていました。彼の卓越した技術は、多くのアニメ作品に息づいています。

アニメーション界への貢献

二宮常雄氏は、日本のアニメーション業界に多大な貢献を果たした一人です。彼の作品は、多くの世代の視聴者の心を捉え、日本のアニメーション文化の発展に大きく貢献しました。その技術と情熱は、後進のアニメーターたちに大きな影響を与え、現在もなお、その精神は受け継がれています。

2023年9月の訃報は、多くのファンに衝撃を与えました。彼の死は、日本のアニメーション界にとって大きな損失ですが、彼の作品はこれからも多くの人々に感動を与え続けることでしょう。彼の功績は、永遠にアニメーションの歴史に刻まれることでしょう。

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