二島返還論

二島返還論（にとうへんかんろん）とは

二島返還論、または二島譲渡論は、日本とロシア間の領土問題である北方領土問題に関して、特に歯舞群島と色丹島を日本に返還または譲渡する案を指します。日本国内外では、主に返還という形で議論される一方、ロシア側では譲渡という表現が用いられることが特徴です。この問題は、日本政府が千島列島に対する権利を放棄したサンフランシスコ平和条約に由来し、一貫して続いています。

歴史的背景

1951年に署名されたサンフランシスコ平和条約において、日本は千島列島に関する権利を放棄しました。ここで言う千島列島には、択捉島と国後島も含まれていますが、北海道近くにある歯舞群島と色丹島は含まれないとの日本政府の見解がありました。このため、日本政府は二島返還を条件にソ連との平和条約交渉を開始します。
最初は平和条約締結が近づいていましたが、日本側が要求を変更し、択捉島と国後島の主張を強めたことで交渉は難航。その後、両国は平和条約締結を断念し、日ソ共同宣言によって国交を回復しました。この宣言では、色丹島と歯舞群島が日本に譲渡されることに合意されましたが、国後島と択捉島についての話は進みませんでした。

二島先行返還論の提案

北方領土問題が解決されない中で、鈴木宗男などの政治家は「二島先行返還論」を提唱。これは、まずは二島だけを返還し、その後に残りの二島の返還を交渉する方法です。しかし、ロシア側の立場は変わらず、交渉を進める中で国後島と択捉島の返還を求めてしまうと交渉が破綻する可能性も示唆されています。

日本政府は四島全体の帰属を主張し、その確認が得られれば柔軟に対応する姿勢を示しています。ただし、根室市では旧島民を含む住民の間で二島先行返還論が支持されています。二島の返還が実現すれば、陸地の面積は北方四島全体のわずか7％に過ぎませんが、海域を含めると経済的価値は格段に大きくなることです。

世論調査の結果

一般的な世論調査でも、多くの日本の人々が四島の返還を望んでいることがわかります。「二島だけの返還で交渉終了」を希望する人は10％程度にとどまり、76％以上の人が四島の返還を望んでいます。

ロシア側の立場

ロシア側の二島譲渡論は、主に歯舞と色丹の譲渡のみを提案し、この問題を解決しようとするものです。ロシア政府の公式見解においても、返還ではなく譲渡という立場が一貫して維持されています。これは、過去の歴史的背景や国際関係が影響しており、簡単に覆すことがではありません。

結論

二島返還論は、日本とロシアの間で非常に複雑な歴史的背景を持ち、多くの利害関係が絡んでいます。日本国内でも様々な意見があり、双方にとって重要な問題であることは間違いありません。今後の展望としては、国際的な視点を交えつつ、平和的な解決に向けた動きが期待されます。

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