歯舞群島

歯舞群島（はぼまいぐんとう）

歯舞群島は、北海道の根室半島から3.7キロメートル北東に位置する一連の島々であり、日本が領有権を主張している北方領土のひとつです。これらの島々は、ロシアによる実効支配が続いており、ロシアでは「ハボマイ諸島」（Острова Хабомаи）として知られています。

名称の由来

島名の「歯舞」は、アイヌ語の「ハ・アプ・オマ・イ」に由来しています。この言葉は、「覆っている氷が退く小島」という意味を持ち、流氷がともに姿を消すと小島が姿を現す様子を表しています。また、ロシア名のハボマイも日本名と同じく名付けられていますが、ロシア側の保守系要人は、ロシア語風に改名すべきという意見を持つこともあります。

概要

歯舞群島は、第二次世界大戦前には水晶諸島や珸瑤瑁諸島、さらには色丹列島とも称されることがありましたが、1969年1月に歯舞群島という呼称に統一されました。地質的には、これらの島々は色丹島とともに根室半島の延長線上に位置し、部分的に陥没したと考えられています。地形や植生は根室半島と類似しており、これらの島々は台地状で平坦なものが多いです。

群島内の中心的な存在である志発島は最も大きな島であり、歯舞群島全体として北方四島の一島として扱われています。歯舞は四島全体の面積のわずか2%を占めています。

歴史

第二次世界大戦以前

18世紀末の江戸時代、江戸幕府の蝦夷地調査隊によって歯舞群島の正確な地図が作成され、以降、日本国内での認知度が高まりました。当時は無人島でありましたが、文化4年（1807年）に幕府が東蝦夷地を直轄地とした際には、色丹島と共に昆布採取が開始されました。定住が始まったのは明治10年（1877年）以降で、主に北海道・函館からの移住者が多く、昆布や海苔などの水産業が盛んでした。大正4年（1915年）、珸瑤瑁村が歯舞村と合併し、以降は歯舞群島として呼ばれるようになりました。

ロシアによる占領と実効支配

1945年9月2日、太平洋戦争の終結に伴いソ連軍が上陸し、歯舞群島はソ連の占領下となりました。以降、日本の施政権は停止され、ロシア連邦の実効支配が続いています。日本政府はこの占領を違法としており、北方領土全体が日本固有の領土であるとの見解を維持しています。

また、日ソ共同宣言においては「平和条約締結後に色丹島と共に日本に引き渡すこと」が約束されているにもかかわらず、現在に至るまで実効支配の状態が続いています。近年でも日本の漁船は漁業再開を求めつつも、ロシア側との摩擦が続いています。

まとめ

歯舞群島は、歴史的背景と地政学的な意味合いを持つ重要な地域であり、日本とロシアの間で領有権を巡る議論が続いています。この美しい島々での調査や研究は、未来の平和的解決の礎となるかもしれません。

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