二式小型輸送滑空機

二式小型輸送滑空機の概要

二式小型輸送滑空機は、昭和15年から昭和17年にかけて、大日本帝国陸軍のために開発された兵員輸送用の滑空機です。この機体は前田航研工業によって製造され、最初の試作名は「ク1」とされました。2本の胴体を持つ双胴形式で、木製の骨組みに合板や羽布が張られ、最大で8人の兵員を運ぶことができる設計となっています。

歴史

日本陸軍は日中戦争の影響で滑空機の研究を一時中断しましたが、1940年5月にドイツがベルギーの要塞にグライダーで兵員を運んだことで、その有効性に注目が集まりました。これを受けて、再び滑空機の研究が始まり、兵員輸送用の「ク1」や戦車用の「ク6」の試作が指示されました。

前田航研の前田健一所長のもと、1940年5月に「前田2600型」として設計が進められ、1941年9月1日に初飛行を迎えます。その後、1942年8月には「二式小型輸送滑空機」として制式に採用され、第一挺進団滑空班へと配備されました。

1943年には滑空飛行第一戦隊で訓練に活用され、1944年のレイテ決戦に際しては滑空第一連隊が編成されましたが、運送中の艦船が敵の潜水艦に沈められ、実戦には投入されることはありませんでした。

特徴

二式小型輸送滑空機は、まず双胴式の機体が特徴です。兵員を6名から8名まで搭載することができ、離陸時には引込式の双車輪を使用し、着陸時には収納した車輪の代わりに胴体下の橇を利用します。この機体は、曳航には九九式軍偵察機が用いられました。

生産については、前田航研だけでなく日本国際航空工業でも行われ、総数約100機が製造されました。また、量産された「ク1I」だけでなく、胴体形状の異なる試作機「ク1II」やその改良型「ク1III」も存在しましたが、これらは実戦には至らず、試作段階で終わりました。

諸元

この滑空機の主要な仕様は以下のとおりです:

• - 乗員: 2名
• - 積載量: 兵員6名または8名
• - 全長: 9.36 m
• - 全幅: 17.0 m
• - 全高: 1.7 m
• - 翼面積: 30.0 m²
• - 自重: 420 kg
• - 搭載量: 600 kg
• - 全備重量: 1,020 kg
• - 最良滑空速度: 80 km/h
• - 曳航速度: 150 - 200 km/h

結論

総じて、二式小型輸送滑空機は、艦上輸送作業において重要な役割を果たすはずだった機体ですが、戦争の不運により、実際の戦闘への投入には至りませんでした。その開発と設計の過程は、日本陸軍の航空技術の進展を象徴するものといえるでしょう。

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