二式練習用飛行艇

二式練習用飛行艇

二式練習用飛行艇（にしき れんしゅうようひこうてい）は、日本海軍が昭和17年（1942年）に正式採用した飛行艇であり、愛知航空機によって開発されました。機体の略号はH9Aで、主にその役割は飛行艇の搭乗員を育成することにありました。当初は訓練用としての設計がなされましたが、戦局の変化に伴い、その実際の運用は想定されていたほどには進みませんでした。

開発の背景

飛行艇搭乗員を効率的に養成するために、日本海軍は昭和14年1月に愛知航空機に対して「十三試小型飛行艇」の試作を命じました。この機体は練習機としての機能だけでなく、哨戒任務や船団護衛にも使用可能な設計が求められました。愛知航空機は設計に着手し、約10ヶ月後の昭和15年3月に試作機を完成させました。これが二式練習用飛行艇の始まりです。

試作機は全金属製で、パラソル式の双発主翼を備えたデザインであり、当初は3機が製造され、テストが行われました。しかし、その際に多くの問題点が露呈しました。具体的には、重量オーバーや重心位置の不具合、水上での操縦性の低さなどが指摘され、練習用としての運用が難しいと評価されるに至りました。こうしたフィードバックを受けて、愛知航空機は細かい改修を行い、最終的には主翼の翼幅と面積を拡大することで、おおむね問題を解決しました。

結果として、昭和17年2月には二式練習用飛行艇として正式に制式採用されました。しかし、当時の戦局によって飛行艇搭乗員の育成ニーズは薄れ、機体の価値も相対的に減少してしまいました。このため、生産は試作機を含めた31機で終了したのです。

運用と特性

生産された二式練習用飛行艇は、当初の目的である飛行艇搭乗員の練習用として活用されることは少なく、主に基地間の輸送や連絡業務といった雑務に従事しました。しかし、太平洋戦争後期においては哨戒機としての需要が増加し、その積載能力が活かされることとなりました。機体には電探や磁探、さらには対潜爆弾が搭載され、近距離での哨戒任務にも対応できるようになりました。

この二式練習用飛行艇は、近接哨戒機としての性能が高く評価され、戦争終結まで貴重な存在として活躍しました。

技術仕様

諸元

• - 乗員数: 5 - 8名
• - 全長: 16.95 m
• - 全高: 5.25 m
• - 翼幅: 24.00 m
• - 翼面積: 63.3 m²
• - 空虚重量: 5,140 kg
• - 最大離陸重量: 7,000 kg
• - 動力: 中島「寿」43型 空冷星型9気筒 レシプロエンジン（最大出力710 hp、最大780 hp）×2

性能

• - 最大速度: 324 km/h
• - 航続距離: 2,150 km
• - 実用上昇限度: 6,780 m
• - 上昇率: 11分14秒/5,000 m

武装

• - 固定武装: 7.7mm機関銃 × 2
• - 爆弾: 250 kg × 2

結論

二式練習用飛行艇は、日本海軍の中で重要な役割を果たした機体であり、飛行艇としての特性を活かしながら様々な任務をこなしました。戦局の変化に応じた運用方針もありましたが、技術革新が歴史に残した一翼となったことは間違いありません。

もう一度検索