最大離陸重量

最大離陸重量 (MTOW) について

最大離陸重量（Maximum Takeoff Weight、MTOW）とは、特定の航空機が離陸する際の主要な制約を表す指標です。この重量は、各機種ごとに設けられた制限であり、航空機が安全に飛行するために重要な役割を果たします。MTOWは、航空機の耐空証明書に記されており、これは自動車の車検に似た性質を持っています。この証明書は、航空機が運航する際に遵守すべき運用限界を明示しますが、実際の離陸重量は様々な外的要因により影響を受けます。

最大許容離陸重量

個々の航空機には最大離陸重量が設定されている一方で、実際の運航では「最大許容離陸重量（Maximum permissible takeoff weight）」が計算されます。この許容重量は、フライトプランに基づいて算出され、離陸の際に考慮すべき条件（選択される天候、滑走路の状態、航空機の性能など）によって変動します。したがって、最大離陸重量は固定されていますが、最大許容離陸重量はフライトごとに変更される可能性があります。

計算に影響を与える要因

最大許容離陸重量を計算する際には、いくつかの要因が影響を及ぼします。たとえば、離着陸場の海面高度や気圧、気温や湿度、風向や風力、エンジンの出力、揚力の状況などが含まれます。また、滑走路の長さや天候状態（降雨や積雪など）が滑走中の助走距離や離陸中断時の制動距離に影響を与えるため、これらも考慮しなければなりません。さらに、離陸時のフラップの角度や推力設定も航空会社の運航において重要です。航空会社は、燃料の節約や安全性を考慮し、必要に応じてフラップを小さく設定し、エンジンの推力を最大にしないようにします。

離陸条件の変化

突然の気象変化（例：降雪など）によって、離陸時の条件が変化し、特に滑走路が短い場合には許容離陸重量を見直す必要が生じることがあります。この場合、航空会社は燃料を通常よりも減少させたり、手荷物や貨物の一部を降ろしたり、搭乗後であっても乗客の一部に降機を求めたりすることがあります。また、通常であれば直行運航できるフライトも、燃料減の影響で航続距離が短くなり、テクニカルランディングを余儀なくされるケースも報告されています。

料金との関連

航空機の最大離陸重量は、着陸料や航行援助施設の利用料金の算出基準ともなります。これらの料金は、一般に設定された単価にこのMTOWを掛け算することで算出され、MTOWが大きい航空機はそれだけ高額になります。特に、国際線向けに設計された大型機を短距離の国内線で使用した場合、燃料量が少ない設定でも、最大離陸重量に応じた高い料金が課されてしまいます。したがって、多くの航空会社は、国内線専用の軽量機材を選ぶ理にかなっています。

最小離陸重量

また、航空機には最小離陸重量も設定されています。特に大型双発機の場合、全体の重量が少なすぎると片側エンジンが停止するリスクがあり、これが操縦の安定性に影響を与えることがあります。そのため、一定の範囲以上の重量が求められています。これは、飛行場の気温や海抜高度などが影響するため、特定の状況下では必要以上の燃料を搭載しなければならないこともあります。これにより、航空機の運航における安全性が確保されます。

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