二村一夫

二村 一夫について

二村 一夫（にむら かずお、1934年2月生まれ）は、日本の著名な歴史学者で、特に労働史の分野での研究において広く知られています。彼は法政大学の名誉教授であり、大原社会問題研究所でも名誉研究員を務め、多くの重要な研究機関や大学での教鞭をとり続けました。

学歴とキャリアの歩み

長野県松本市に生まれた二村氏は、地元の高校を卒業後、東京大学文学部国史学科に進学し、1956年に卒業しました。その後、法政大学大学院で修士課程を修了し、同大学法学部の助手としてキャリアをスタートさせました。1960年からは東邦大学で専任講師を務め、1963年には助教授、その後1966年には法政大学大原社会問題研究所に兼任研究員として参加。

1973年には法政大学教授に昇進し、その後もウォーリック大学やハーバード大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学バークレー校などの研究機関で訪問研究員としての経験を重ねていきました。1985年からは法政大学大原社会問題研究所の所長を務め、1999年には定年退官、その後名誉教授として後進の指導にあたりました。

主な業績と著書

二村氏の著作には、労働運動や社会史に関する多くの重要な論考が含まれています。特に1988年に発表した『足尾暴動の史的分析 鉱山労働者の社会史』は、労働関係図書優秀賞を受賞するなど、高い評価を得ました。また、1997年には英語の著作『The Ashio Riot of 1907』を刊行し、日本の労働運動の歴史を国際的に発信しました。

さらに2008年に発表した『労働は神聖なり、結合は勢力なり 高野房太郎とその時代』では、高野房太郎という労働活動家とその時代背景を詳細に論じ、社会政策学会賞学術賞を受賞しています。2024年には、彼の著作を集めた『二村一夫著作集』が出版予定となっています。

共著や翻訳も多数手がけており、例えば、高野房太郎の労働組合の歴史に関する訳書や、アンドルー・ゴードンの『日本労使関係史 1853 - 2010』などがあります。これらの業績を通じて、労働史の専門家としての地位を確立しました。

学会との関わり

二村氏は、数多くの学会に所属し、活動を通じて日本の社会政策や労働問題に関する議論をリードしてきました。1978年には労働運動史研究会の事務局長を務め、2001年にはハーバード燕京研究所の招聘研究員として世界的な視野での研究を深めました。

まとめ

二村一夫は、日本の労働史研究における重要な人物であり、長年にわたる研究活動の中で、数多くの著書や論文を通じて業界に多大な影響を与えました。彼の業績は、今後も労働史の研究の発展に寄与し続けることでしょう。

もう一度検索