二村英仁

二村 英仁（にむら えいじん）

1970年8月24日に東京で生まれた二村英仁は、日本のヴァイオリニストであり、音楽を通じた国際貢献でも知られる人物です。特に、日本人としては初めてユネスコ平和芸術家に任命されたことで、その活動は国内外から注目されています。

幼少期から国際的な学びへ

4歳の時にヴァイオリンを手にし、音楽の道を歩み始めました。幼い頃からその才能は認められ、ヴァイオリンの巨匠アイザック・スターンの推薦を受ける機会を得ます。この出会いをきっかけに、9歳から16歳までの毎夏、アメリカへ渡り、ニューヨークのジュリアード音楽院にて、名教育者として知られるドロシー・ディレイから集中的な個人レッスンを受けました。国際的な環境での学びは、彼の音楽性を大きく育むこととなります。また、11歳という若さで、世界的指揮者ユージン・オーマンディから将来を嘱望される言葉を贈られるなど、その才能は早くから将来を期待されていました。その後、東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京芸術大学を卒業しています。

輝かしい演奏キャリア

大学卒業後、1996年頃から本格的に海外での演奏活動を開始しました。ヨーロッパ各地の主要なコンサートホールで成功を収め、国際的なヴァイオリニストとしての地位を確立していきます。これまでに国内主要オーケストラはもちろんのこと、海外の著名なオーケストラとも数多く協演し、ソリストとして華々しいキャリアを築いてきました。

その高い音楽性は、国内外のコンクールや賞によっても認められています。1994年には権威あるパガニーニ国際コンクールで第2位に入賞。翌1995年には日本国際音楽コンクールで第1位を獲得し、その実力を広く知らしめました。さらに1996年には、将来を嘱望される若手音楽家に贈られる出光音楽賞を受賞するなど、演奏家として着実に評価を高めていきました。

音楽を通じた社会貢献活動

二村英仁の活動のもう一つの大きな柱は、音楽を通じた社会貢献です。早くからチャリティコンサートに積極的に参加し、その活動の幅を広げてきました。特に、紛争後のボスニア・ヘルツェゴビナでは、職業訓練所への義手や義足の寄付、病院再建支援など、具体的な支援活動に深く関わりました。こうした長年にわたる献身的な社会貢献活動が高く評価され、1998年、ユネスコ（国際連合教育科学文化機関）から日本人として初めてユネスコ平和芸術家に任命されました。

ユネスコ平和芸術家としての活動は多岐にわたります。ボスニア・ヘルツェゴビナでの活動に加え、サラエボ、コソボ、パレスチナといった紛争や困難な状況にある地域を訪れ、音楽の力で人々に希望を届ける演奏活動を行ってきました。

国内においても、大規模災害からの復興支援に尽力しています。2011年の東日本大震災発生以降は、被災した子どもたちを支援するための募金活動やチャリティコンサートを目的とした演奏を全国で積極的に展開。また、熊本地震の被災地支援にも協力するなど、日本の被災者への支援にも継続的に取り組んでいます。さらに、インドネシア、ネパール、イタリアなど、世界の地震被災地への支援も継続的に行い、音楽の力で国境を越えた連帯を示しています。

2015年、ユネスコ創設70周年という国際的な節目にあたり、パリ本部から日本での記念事業開催を託されました。同年9月には、ユネスコ本部や関係機関の協力を得て、被爆地である長崎の浦上天主堂で平和を願う記念コンサートを開催し、音楽を通じた平和へのメッセージを発信しました。また、10月にはパリのユネスコ本部で開催されたユースフォーラムにおいて、「ニムラ・プロジェクト」と題したコンサートを行い、世界各国から集まった若者たちに音楽の持つ力を伝えました。

愛器とディスコグラフィー

彼の音楽を支える愛器は、1707年に製作されたアントニオ・ストラディヴァリウス「ステラ」です。この名器と共に、数々の名演奏を生み出してきました。

これまでにリリースしたアルバムには、『音楽にできること』、『時空をこえて』、『スカーレット・メロディ～緋色の旋律』、『ちょっとセレブにクラシック ～映画を彩るオーケストラの名曲～』などがあります。

メディアでの活動

メディアにも数多く登場しており、NHK総合やBSではドキュメンタリー『音楽にできること〜ヴァイオリニスト二村英仁〜』が放送されました。また、NHKドラマシリーズ『夢みる葡萄』ではメインテーマやエンディングテーマの演奏を担当するなど、クラシック音楽の枠を超えた活動も行っています。他にも、国際映画祭入賞作品である『封印された旋律〜ガス室に消えた音楽家たち〜』や、KDD（現KDDI）のCM『プロジェクト001 プラハ編』にも関わるなど、幅広い分野でその才能を発揮しています。

二村英仁は、一人の優れたヴァイオリニストであると同時に、音楽が持つ普遍的な力をもって、世界の平和と人道支援に貢献し続ける稀有なアーティストです。その活動は、演奏家と社会活動家という二つの側面を見事に融合させており、多くの人々に影響を与えています。

（注：記載内容は公開情報に基づいています。ディスコグラフィー、メディア関連は一部を抜粋しています。）

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