二次資料

二次資料とは

学術分野における二次資料とは、一次資料を基に作成された文献や記録のことです。一次資料が直接的な情報源であるのに対し、二次資料は一次資料の内容を要約、分析、解釈、評価したものです。例えば、歴史的な出来事に関する一次資料（当時の日記や手紙など）を基に、研究者が分析・解釈を加えて書いた論文や書籍が二次資料に該当します。

一次資料との違い

一次資料は、ある出来事や現象について直接的な知識を持つ人物や、その人物によって作成された記録です。一方、二次資料は、一次資料の情報をもとに、その情報を選択、修正、整理したものです。二次資料には、一次資料の一般化、分析、解釈、評価が含まれます。

分類

情報源の分類は、その情報がどのように利用されるかによって変化します。同じ情報源でも、一次資料として扱われることもあれば、二次資料として扱われることもあります。また、情報源の分類は主観的かつ文脈に依存するため、厳密な定義は難しいとされています。

記号的情報源: 二次資料の分類は、他者に情報を伝える目的で作成された記号的情報源に対してのみ有効です。例えば、手紙や記録などは記号的情報源ですが、陶器の破片やゴミの山などは含まれません。
文脈による変化: ある情報源が一次資料とみなされるか二次資料とみなされるかは、その分野における現時点の知見の多寡によって変わり得ます。例えば、過去の文献が未発見の書簡の内容に触れている場合、それは一次資料とみなされることもありますが、後にその書簡が発見された場合は二次資料とみなされるでしょう。
UNISISTモデル: 情報伝達のモデルとして、一次、二次、さらに高次の概念が用いられることがあります。UNISISTモデルでは、これらの概念は相互関係性として定義されます。
言語による区別: ドイツ語では、歴史的事実に関する二次資料を「Sekundärliteratur」、史学史に関する二次資料を「Sekundärquelle」と区別します。後者は、失われた一次資料について記した情報源を指します。

各分野における二次資料

科学、工学、医学

この分野では、総説論文やメタアナリシスが二次資料として扱われます。一次資料は、研究者が自ら行った研究をまとめた論文であり、IMRAD形式で書かれることが一般的です。ただし、科学論文の序論部分にある先行研究の要約は、二次資料とみなされる場合があります。また、書評は、評者の意見に関する一次資料であり、本の内容に関する二次資料となります。

図書館情報学

この分野では、二次資料は、研究における特定の情報や目的という文脈の中で、一次資料を要約したり論評した情報源とされます。

数学

数学分野では、一次資料の難解な数学的概念や証明を、一般の人々にも理解できるように解説するものが二次資料として重要です。

人文科学と歴史学

この分野では、近年の解説者や学者の観点から書かれた著書や学術雑誌が二次資料とされます。査読された論文は常に二次資料です。情報源の分類は、情報源の独立性と信頼性を見定めるために重要です。

法学

法学分野では、情報源の信頼性は来歴に依存するため、分類が重要です。一次資料には判例、憲法、法令などが含まれ、二次資料には書籍、判例集の頭注、記事などが含まれます。法学分野の著述家は、権威を備える一次資料を好んで引用します。

家族史

家族史においては、出来事の目撃者でない者が、後になって記録したものが二次資料となります。また、目撃者であっても、時間が経過し記憶が曖昧になった状態で記録したものは二次資料とみなされます。

自伝

自伝は、本人以外の主題に関する情報を得るために使われた場合、歴史学や人文科学における二次資料になり得ます。例えば、戦争体験に関する自伝は、当時の戦争観に影響を受けている可能性があります。

まとめ

二次資料は、学術研究において重要な役割を担っています。一次資料の情報を整理し、分析・解釈を加えることで、より深い理解を促します。二次資料を適切に利用することで、研究の幅を広げ、より質の高い成果を得ることができます。それぞれの分野において、二次資料がどのように扱われるかを理解し、情報を適切に活用することが重要です。

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