二羽の鳩

バレエ『二羽の鳩』の概要

『二羽の鳩』は、1886年にパリ・オペラ座で初めて公演された全3幕からなるバレエ作品です。この作品は、アンドレ・メサジェによる音楽と、振付家ルイ・メラントの手によるもので、物語はフランスの詩人ラ・フォンテーヌの寓話に基づいています。物語の中心は、婚約中の若い男女、ペピオとグルリの愛情と危機を描いています。

作品の誕生

メサジェはこの作品の作曲家として、当時まだ若手でしたが、サン＝サーンスの推薦でオペラ座と関わることになりました。ヴォーコルヴェイユがラ・フォンテーヌの寓話を選び、台本作成をアンリ・レニエに依頼しました。しかし制作が始まる前に、ヴォーコルヴェイユとレニエが相次いで退とすることになり、振付が開始されるまでに時間がかかってしまいました。この作品は、オペラ座で初めてピアノ伴奏によるリハーサルが行われた作品としても知られています。

初演は1886年10月18日に行われ、ドニゼッティのオペラ『ラ・ファヴォリート』との二本立てでの上演でした。この日は悪天候にもかかわらず、多くの観客が集まりました。ヒロインのグルリ役を務めたロシタ・マウリは、当初金髪のかつらを被っていたため、観客には認識されませんでしたが、踊りを披露することで大いに称賛を得ました。

あらすじ

第1幕

物語は18世紀のエーゲ海近くの田舎から始まります。大広間に入ってきたグルリは、婚約者のペピオの不満を気にしています。彼の心を晴らそうと努める彼女は、やがてジプシーたちの到来を歓迎し、共に踊ります。しかし、ペピオはジプシーたちに魅了され、最終的に家を出て行くことを決意します。

第2幕

ジプシーの村で祝祭の準備が進む中、ペピオは新しい女性たちと楽しそうに話しています。その中に、実はグルリがこっそりと追ってきて、男装をして踊る姿が見られます。ペピオはその女性がグルリだとは気づかずに夢中になりますが、最終的に賭けをしてすべての金を失います。

第3幕

物語はグルリの家に戻ります。母ミカリアとグルリは再会し、グルリはペピオが帰ることを知ります。やがてペピオが戻り、彼はグルリに許しを請い、二人は仲直りをします。

上演の歴史

『二羽の鳩』はその後、1894年に全2幕に再構成され、物語の背景がハンガリーに変更されるなど、さまざまな改訂を受けました。アシュトンによる1961年版も存在し、これは新しい振付と演出を取り入れた作品で、特に日本でも1992年に初演が行われたことが注目されています。

いずれの版も、映画や舞台で繰り返し上演され、数多くの観客に愛され続けています。また、初演当時から特異な点として、グルリ役を男性が演じることもあったため、特にその演技は注目されることがありました。『二羽の鳩』は、時代を超えて多くの人々に親しまれる作品として、バレエの歴史に名を刻んでいます。

もう一度検索