二見の道

二見の道の概要

二見の道（ふたみのみち）は、静岡県磐田市見付町と愛知県豊川市御油町を結ぶ重要な街道であり、浜名湖の北側を通って、本坂峠を越えるルートとして知られています。全長は約60キロメートルで、地震などの影響で主な交通路が通行困難となった際には代替路としても利用されました。この道は、東海道の本道としての役割を果たし、戦国時代の軍勢や江戸時代の旅人たちに利用され、次第にこの地域の交通の要所となっていきました。

古代から中世への道の変遷

二見の道は、先史時代から存在し、周辺には縄文・弥生時代の遺跡が多く見られます。上代には此の道を利用する者が多く、天竜川の下流部は磐田の海と呼ばれる湖だったため、さらに大乃浦という湖も存在していました。このため、道は東海道の一部として重視されましたが、時が経つにつれ浜名湖南岸が通行可能になり、二見の道は裏街道として扱われていきました。

中世になると、地震などの自然災害によって浜名湖の南岸が遮断された際に再び利用されるようになりました。特に、16世紀初頭に今切口が開通したことを契機に、本坂越は再度注目され、戦国時代において蝶の密度での通行や兵士の移動に利用されるようになりました。

街道の整備と宿駅

本坂峠を越えて続くこの街道には、古くから宿駅が設けられていました。特に「板築駅」と「猪鼻駅」は重要な宿場でした。「板築駅」は笠井の近くに位置しており、古代から利用されていた道の一部となっていました。一方、「猪鼻駅」は猪鼻湖の近くにあり、経路によっては湖を渡る必要があったとされています。これらの宿は道中の休息所として、旅人や軍勢に利用されてきました。

近世における姫街道の成長

江戸時代になると、二見の道も「姫街道」と呼ばれるようになり、これは特に女性が利用することが多かったためです。宿駅や関所も整備され、道の整備と共に通行量は増加し、その重要性が増していきました。特に、遠江と三河を結ぶこの道は、所々に設けられた関所によって管理され、流通の要所とされていました。

現在に至るまでの変遷

しかし交通網が進化していく中で、道の役割は次第に衰退し、今では地域の生活路として利用されています。明治維新後、全国的な関所や宿駅が廃止されたことに伴い、姫街道も街道としての使命を終えましたが、いくつかの部分は現代の道路の一部として生き続けています。本坂トンネルの完成によって、本坂峠越えがほぼ廃止され、新たに敷設された新姫街道も利用されるようになりました。

史跡と観光

道沿いには多くの史跡が点在しており、例えば橘神社は、歌人・橘逸勢を祀っており、その周辺にはさまざまな遺構があります。また、姫街道の松並木なども観光名所の一つであり、地域の文化や歴史を感じることができる場所です。さらに、嵩山の蛇穴は国の指定史跡であり、縄文前期の洞窟住居跡として保存されています。

二見の道は、静岡と愛知を結ぶ歴史の重みを持った道であり、数多くのエピソードと共に、今も旅人たちに親しまれています。

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