二重関節

関節過可動性、または一般的に「二重関節」と呼ばれる状態は、先天的に関節の可動域が通常の人よりも広いことを指します。この特徴を持つ人は、しばしば「二重関節の持ち主」と称され、その割合は20人に1人程度とされています。代表的な例としては、「親指が手の甲につく」という現象が挙げられます。

二重関節を持つ人の最大の特性は、その驚異的な柔軟性です。例えば、180度開脚のように、一般の人が訓練を重ねてようやく達成できる動きを、彼らは容易に行うことができます。さらに、訓練を積むことで、通常の人には不可能なポーズを取ることすら可能になります。このため、新体操の選手や雑技団員など、高度な柔軟性が求められる職業では、二重関節が一種の必須条件となることがあります。また、バレエダンサーやフィギュアスケート選手など、柔軟性が有利に働く競技においても、二重関節は大きなアドバンテージとなります。

しかし、二重関節にはメリットだけでなく、注意すべき点も存在します。関節が過度に動くため、本来人間の身体が想定していない範囲まで関節が動いてしまうことがあります。これにより、骨と骨がぶつかり合ったり、脊椎を損傷したりするリスクが高まります。つまり、二重関節は柔軟性と引き換えに、怪我のリスクを常に抱えていると言えるでしょう。

二重関節の持ち主として知られる著名な人物には、バレリーナの上野水香、シルヴィ・ギエム、アリーナ・ソーモワ、ナタリア・オシポワなどがいます。彼女たちは、その並外れた柔軟性を活かして、世界中で観客を魅了しています。

また、関節可動の構造を指す用語としての「二重関節」も存在します。例えば、実在の生物やロボットを模した可動フィギュアにおいて、モチーフの持つ可動域を再現するために、一つの関節に対して二つの回転軸を持つパーツが用いられることがあります。このパーツを「二重関節」と呼ぶことがあります。

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