シルヴィ・ギエム

シルヴィ・ギエム

シルヴィ・ギエム（Sylvie Guillem）は、1965年2月25日にフランス・パリで誕生した著名なバレエダンサーです。彼女はその独特なパフォーマンススタイルと卓越した技術で、バレエ界において特異な存在となっています。彼女の姓はカタルーニャ系に由来し、フランス語では「ギレム」と発音されます。

幼少期とバレエへの道

ギエムは幼少期から体操に取り組んでおり、12歳の時にはオリンピックの国内予選を通過しました。その際、パリ・オペラ座バレエ学校の校長であるクロード・ベッシーにスカウトされ、1976年に同校に入学しました。1981年にはパリ・オペラ座バレエ団に加入し、バレエダンサーとしてのキャリアをスタートさせた彼女は、その強靭な肉体と姿勢から「強靭な肉体の持ち主」と称賛されるようになります。

特に、彼女の柔軟な体や弓のようなアーチを描く足の甲、さらに200度以上に開く開脚やジャンプのパフォーマンスは、観客を魅了しました。ベッシーは彼女の足の型をとってブロンズ像を制作したほど、その身体的才能は特異なものでした。

1981年の初来日を皮切りに、彼女の名声は国際的に広まりました。1983年のヴァルナ国際バレエコンクールでは金賞、特別賞、優秀賞の三冠を獲得し、1984年にはカルポー賞を受賞しました。さらに、同年の『白鳥の湖』での主演後、ルドルフ・ヌレエフ芸術監督より最高位のエトワールに任命され、彼女の名声は一層高まります。

パリ・オペラ座からの退団とその後

しかし、固定のスタジオに縛られ、外部からのオファーを受けることができない束縛に不満を持ったギエムは、1988年にパリ・オペラ座バレエ団を退団しました。この決断はフランス国内で「国家的損失」と言われるほど衝撃的でした。その後、彼女はイギリスに移籍し、ロイヤル・バレエ団のゲスト・プリンシパルとして活動を開始しました。

ギエムは特にコンテンポラリー・ダンスにも情熱を持ち、様々な作品に出演しました。モーリス・ベジャールの『ボレロ』やウィリアム・フォーサイスの『In the Middle, Somewhat Elevated』など多くの代表作を持つだけでなく、自ら振付を行うことでも知られています。特に1998年にフィンランド国立バレエ団のために振り付けた『ジゼル』は好評を博し、2001年のパリ公演も成功を収めました。

栄誉と引退

彼女は数多くの賞を受賞し、1993年にはパリ市ヴェルメイユ・メダル、1994年にはレジオンドヌール勲章騎士、1999年にはフランス国家功労賞を授与されました。これに続く2000年にはポムロール騎士修道会員団の騎士号、2003年には大英帝国勲章を受け取り、2009年にはレジオンドヌール勲章オフィシエとなりました。

2015年にはローレンス・オリヴィエ賞特別賞を受賞し、その年の年末に引退を発表しました。彼女は世界各地を回るファイナルツアーの締めくくりとして、日本でのさよなら公演を行い、国民的な注目を集めました。

プライベートと影響

ギエムは非常にプライベートな人物ですが、日本文化に大きな関心を示しており、数十回にわたり来日しています。自作の陶芸作品を写真集に掲載し、また2011年には東日本大震災の際にチャリティ公演「Hope Japan」を開催するなど、社会貢献も行ってきました。彼女の影響力はバレエ界だけにとどまらず、幅広い分野に及ぶものといえるでしょう。

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