二階の他人

二階の他人

『二階の他人』は、1961年に多岐川恭が発表した短編小説で、同年には松竹による映画も制作されました。この映画は、著名な監督である山田洋次の初監督作品としても知られ、1961年12月15日に公開されました。

あらすじ

物語は、新築した家のローン返済のために二階を間貸しすることに決めた葉室正巳とその妻、明子の家庭から始まります。彼らは、経済的な理由から最初の住人として小泉久雄とその妻晴子を迎え入れます。しかし、小泉夫妻は家賃を滞納し、久雄は失業中で何もせず、さらに母のとみが同居している長男・鉄平ともめ事を起こし、ついには久雄らと仲良くなってしまいます。

正巳と明子は、家賃も支払わず怠ける小泉家に対し、強硬手段を取ることを決意します。警察に相談した結果、正巳は二階に乗り込み、バットを振りかざして彼らを追い出すことに成功しますが、この騒ぎは収束します。ところが、時間が経つと二階には新たに華やかな新婚の来島泰造と妻葉子が入居してきます。

来島は一見すると素晴らしい印象を持つ夫婦ですが、彼らの登場と共に問題がまたしても勃発します。正巳の母、とみが押しかけてきたり、来島の身に危険が迫ってきたりと、物語は再び波乱の展開を見せます。家族間の金銭トラブルや、人間関係のもつれが絡み合い、正巳夫婦は新たな試練に直面します。特に来島が正巳に借金を頼んできたことから、さらに複雑な問題が生じてきます。

ある日、来島夫妻が何やら怪しい行動をしていることに正巳は気づき、警察に相談しますが、翌日その来島夫妻が自首し、麻薬の横領事件に関わっていたことが明らかになります。これにより、何とか正巳と明子は借金問題の解決策を見出そうとします。

物語の終わりには、明子が来島夫妻から受け取った手紙に感謝の意を示し、二人は彼らの復帰に向けて毎月着実に借金の返済を積み立てていくことを誓います。ら,この経験を通じて家族の絆がより一層深まったことを示唆しています。

映画製作スタッフ

本作の監督は山田洋次、製作を今泉周男が務め、脚本には野村芳太郎と山田洋次が名を連ねました。撮影や音楽、編集など、各種のスタッフが参加し、映画の品質を高めています。

キャスト

主演は小坂一也（葉室正巳）、葵京子（葉室明子）らが務め、他にも川島悠実（小泉久雄）、永井達郎（来島泰造）などが出演しています。それぞれのキャラクターが織りなす人間模様が、観る者に深い感動を与える仕上がりとなっています。

この作品は、ただのコメディやドラマだけでなく、家族の絆、経済問題、時にはシリアスな人間関係をも描いており、今なお多くの人々に支持されています。

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