于琛澂

于琛澂 - 軍人の経歴

于琛澂（う ちんちょう）は、中国の歴史の中で重要な役割を果たした軍人であり、主に中華民国と満州国で活動しました。彼は山東省蓬莱県に生まれ、その軍事的キャリアは北洋陸軍速成学堂の騎兵科を修了した1908年冬から始まります。最初は黒竜江省で軍務に従事し、1917年には団長に昇進するなど、その能力を着実に示していきました。

彼の軍における出世は順調であり、1918年6月15日には陸軍騎兵上校銜を得た後、その数年間で複数の重要な職務を歴任しました。しかし、1920年に健康上の理由で団長を辞職した後でも、彼のキャリアは継続し、吉林省に転任しました。1922年には暫編吉林陸軍第1旅の旅長に就任し、その後もさらなる昇進を遂げていきます。

1925年には東北陸軍第16師の師長に任命され、その後は安国軍第6方面軍に加わりましたが、1928年の奉天派の崩壊後、彼は軍職を解かれることになります。これはなかなか難しい局面で、特に張作霖爆殺事件によって状況は急変しました。こうした歴史的背景の中で彼は再び新たな道を切り開きます。

1932年に満州国が建国されると、于琛澂は吉林剿匪司令として重要な役割を果たしました。彼はその年のうちにハルビンを攻撃し占領し、さらに東省鉄路護路軍の副司令に任命されます。翌年には総司令に昇進し、依蘭地区での警備も兼務しました。このように、彼は満州国の軍事組織において中心的な存在となりました。

1934年になると第4軍管区司令官を務め、やがて第1軍管区司令官として任務を全うしました。1937年には奉天地区警備司令部の司令官を兼任し、三江省の省長にも任命されるなど、彼の影響力はますます広がります。1940年には治安部大臣に任命され、陸軍上将へと昇進し、彼の政治的・軍事的地位は頂点に達しました。

しかし、彼のキャリアには波乱もありました。1942年、満洲国特使として蒙古自治邦政府を訪問した際には、そこでも重要な交渉を行ったとされていますが、同年の京都政府との人事異動により治安部大臣を退任することになります。この異動は、彼が関東軍の高官の前で失態を演じたことに起因するとする見方もあります。

1944年、于琛澂は病に倒れ、その生涯を閉じました。享年は58歳でした。彼の活動は、当時の中国の軍事史において重要な意味を持ち、その足跡は現在においても評価されています。彼の経歴は、時代の波に翻弄された軍人の一例といえるでしょう。

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