五十嵐日出夫

五十嵐日出夫：北海道の都市計画をリードした工学者

五十嵐日出夫氏（1932年2月7日-2006年10月20日）は、北海道大学名誉教授、北海学園大学名誉教授を歴任した日本の工学者にして官僚です。札幌市に生まれ、北海道における都市計画学の第一人者として広く知られています。

教育と研究への貢献

1954年、北海道大学工学部土木工学科を卒業後、運輸省に入省。間もなく北海道開発局に出向し、その後、北海道大学工学部土木工学科にて専任講師、助教授、そして教授として長年にわたり教鞭を執りました。1975年には交通計画学講座の教授に就任し、都市計画、交通計画分野で多くの学生を育成しました。1995年に北海道大学を定年退官した後も、北海学園大学工学部教授として都市計画学の教育と研究に尽力し、1997年から1999年にかけては同大学大学院工学研究科長を務めました。

彼の専門は、交通現象や都市活動を定量的、定性的に分析するモデルや理論の構築でした。晩年には風土工学にも取り組み、工学的な視点から教育論を展開するなど、研究領域を拡大しました。

北海道の都市開発における功績

五十嵐氏の研究は、北海道の都市計画に大きく貢献しました。特に、積雪寒冷地における街路除雪の経済効果を推定する研究は、除雪予算の重要性を示し、除雪基準の改善に繋がる重要な成果となりました。また、道路ネットワークの理論構築に関する研究では、北海道のみならず全国の道路交通体系整備に資する理論的枠組みを提案しました。さらに、青函トンネルの客観的な輸送実績データ分析を行い、航空会社や物流事業のニーズを的確に捉え、有効活用方策を提言するなど、実践的な政策提言にも力を注ぎました。

北海道大学では交通計画学、都市地域計画学、土木史学の創設・発展に貢献し、これらの分野における基盤構築に尽力しました。

社会貢献と受賞歴

学術界への貢献は多岐に渡り、土木学会理事、土木教育委員会委員長、土木史研究委員会委員長などを歴任。また、北海道都市計画審議会、札幌市都市計画審議会、小樽市都市計画審議会、苫小牧市都市計画審議会など、数多くの審議会において会長または副会長を務め、行政における都市計画策定にも深く関わりました。

その功績は高く評価され、北海道科学技術賞（1994年）、日本地域学会功績賞（1994年）、日本都市計画学会功績賞（2002年）、そして正四位瑞宝中綬章（2006年）などを受賞しました。

出版物と門下生

『土木計画数理』、『JR北海道の課題』、『日本土木史』、『ナイフ持たせぬ教育論』、『土木用語大辞典』、『私の考えるクルマ社会』など、多くの著書や共著を発表し、後進の育成にも貢献しました。

彼の門下生からは、北海学園大学工学部教授の鈴木聡士氏など、多くの優秀な人材が輩出されています。

2006年10月20日、74歳で逝去。彼の残した功績は、北海道の都市計画発展の歴史に深く刻まれています。

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