五十日足彦命

五十日足彦命（いかたらしひこのみこと）

五十日足彦命は、古墳時代に活躍した皇族で、第11代垂仁天皇の皇子として知られています。『古事記』では五十日帯日子王（いかたらしひこのみこと）と記されています。

系譜

五十日足彦命は、崇神天皇を祖父に持ち、垂仁天皇を父に持ちます。母は、山背大国不遅の娘である苅幡戸辺（かりはたとべ）、あるいは丹波道主王の娘である薊瓊入媛（あざみにいりひめ）とされています。

子には、健忍別命（五十嵐氏、石田氏、山守部氏、春日山氏等の祖）や穂狭久良命（高志池氏の祖）がいます。

同母兄弟については、『日本書紀』や『古事記』、『先代旧事本紀』、『丹哥府志』などの資料によって異なっており、複数の説が存在します。

『日本書紀』: 母は垂仁妃・苅幡戸辺。
兄：祖別命
本人：五十日足彦命
弟：胆武別命
『古事記』: 母は垂仁妃・苅羽田刀弁。
兄：落別王
本人：五十日帯日子王
弟：伊登志別王
『先代旧事本紀』: 母は垂仁妃・薊瓊入媛。
兄：池速別命
兄：五十速石別命
本人：五十日足彦命
『丹哥府志』: 母は垂仁妃・薊瓊入姫。
兄：速石別
兄：五十建速石別
本人：五十日足彦

後裔

五十日足彦命は、多くの氏族の祖とされており、その子孫は各地で勢力を拡大しました。

石田君: 『垂仁紀』に、五十日足彦命は石田君の祖であると記されています。
春日山君、高志池君、春日部君: 『垂仁記』に、五十日帯日子王は春日の山君、高志の池君、春日部の君の祖であると記されています。
山公: 『新撰姓氏録』によると、和泉国の皇別・山公は、五十日足彦別命の後裔とされています。
山守氏: 『新撰姓氏録』によると、摂津国の皇別・山守は、五十日足彦命の後裔であるとされています。
石井氏: 敦賀市三島の八幡神社は、五十日足彦命を石田大神（石田君の祖）として石田神社に奉祀したのが始まりとされ、現在の八幡神社の氏人と社家の石井家の祖とされています。
五十嵐氏: 五十嵐神社（新潟県三条市）は、五十日足彦命の埋葬地とされ、五十嵐氏の祖とされています。五十嵐川も五十日足彦命の名に因んだものと伝えられています。
五十日真黒人: 五十日足彦の子孫で丹波国与謝の長者。市辺押磐皇子の子の億計・弘計の二王子を匿った人物。

歿地・墓

五十日足彦命の歿地については、複数の伝承があります。

五十嵐神社の伝承では、歿地は飯田村であり、新潟県三条市の五十嵐神社の社域が陵墓とされています。
五十君神社の伝承では、歿地は高志八岐村であり、大賀・不盡の二臣が御霊を奉祀したのが神社の創建とされています。

五十日足彦命を祭神とする神社

五十日足彦命は、各地の神社で祭神として祀られています。

伊加奈志神社：式内社・伊予国越智郡（愛媛県今治市）
五十嵐神社：式内社・越後国蒲原郡（新潟県三条市）
五十君神社：式内社・越後国頸城郡（新潟県上越市）
石田神社：式内社・山城国久世郡（京都府八幡市）
春日神社：式内社・越前国坂井郡（福井県鯖江市）
滓上神社：式内社・加賀国能美郡（石川県小松市）
八幡神社：式内社・越前国敦賀郡（福井県敦賀市）

関連項目

胆香足姫命：五十日足彦の異母姉妹。
伊賀国造：五十日足彦の兄息速別命が宮を構えたとされる。
* 五十日鶴彦命（伊賀比売）：五十日足彦命の叔父（叔母）。垂仁天皇の同母弟（記に妹）。

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