五島高資

五島高資氏は、1968年（昭和43年）5月23日、長崎県長崎市片淵町に生まれました。俳人としては「五島高資」という名を用いており、本名とは異なります。また、別号として「篁風」（こうふう）も称しています。医師としての顔も持ち、医学博士の学位を有しています。さらに、地域学者としても活動しており、その活動範囲は多岐にわたります。現在は栃木県宇都宮市に在住しています。

俳句との出会いと師事

幼い頃から俳句に親しんできた五島氏は、1982年には長崎新聞ジュニア俳壇で年間優秀賞を受賞するなど、早くからその才能を発揮しました。俳句の世界では、まず「ホトトギス」の森大鈴氏に師事。その後、1988年には「土曜」に参加し、主宰であった隈治人氏に師事しました。さらに、1998年には現代俳句を代表する金子兜太氏にも師事しており、複数の大家から指導を受けたことは、その後の作風や俳句観に大きな影響を与えたと考えられます。

学業と医療の道

1987年に長崎県立長崎東高等学校を卒業した後、五島氏は自治医科大学医学部に入学しました。医学を修める傍ら、俳句活動も継続。1990年には、全国学生俳句大会において推薦大賞および文部大臣奨励賞（選者は金子兜太氏）を受賞するなど、学生時代からその実力が広く認められていました。1993年に自治医科大学を卒業後、大学院博士課程を修了し、医師としてのキャリアを積みました。医師という専門職に就きながらも、俳句への情熱を失わず、両立させてきた点も五島氏の特筆すべき経歴です。

俳句活動とインターネットの活用

五島氏の俳句活動における重要な出来事の一つに、インターネットを活用した取り組みがあります。1998年、インターネット上の俳句会「俳句スクエア」を創設し、その代表を務めています。これは、インターネットが普及し始めた時期において、オンラインで俳句を投稿し、交流する場を提供した先駆的な試みと言えるでしょう。また、「海程」や「豈」といった主要な俳句結社の同人としても活動し、現代俳句の発展に貢献しています。

受賞と著作

五島氏はこれまでに多くの賞を受賞しています。1995年には第13回現代俳句新人賞を受賞し、俳壇における地位を確立しました。1997年には、最初の句集『海馬』（1996年、東京四季出版）によって中新田俳句大賞（現・加美俳句大賞）スウェーデン賞を受賞。さらに、1999年には第19回現代俳句評論賞を受賞するなど、創作だけでなく評論の分野でも高い評価を得ています。句集としては、『海馬』のほか、『雷光』（2001年、角川書店）、『五島高資句集』（2004年、文學の森）、『蓬莱紀行』（2005年、富士見書房）など多数を刊行。また、『無敵の俳句生活』（2002年、ナナ・コーポレート・コミュニケーション）のような共編著や、『現代俳句ハンドブック』（1995年、雄山閣出版）、『現代俳句大事典』（2005年、三省堂）といった共著も多く、俳句に関する著作活動も精力的に行っています。

その他の活動

俳句や医師としての活動に加え、五島氏は地域学にも深い関心を持ち、群馬県立女子大学・群馬学センターのリサーチ・フェロー（2014年）を務めるなど、地域社会や文化に関する研究・貢献も行っています。また、日本文藝家協会、現代俳句協会、日本ペトログラフ協会、邪馬台国の会などの多岐にわたる団体に所属。国立博物館特別支援者や宇都宮市文化財ボランティア協議会会員、宇都宮国際文化協会会員としても活動しており、その関心は歴史、文化財、国際交流にまで及んでいます。2015年には月刊「俳句界」の俳句トーナメント選者を担当し、栃木シルバー大学で講師を務めました。さらに、2016年からは俳句大学の副学長および副理事長も務めています。趣味は剣道で、二段の腕前を持っています。

五島高資氏は、俳句、医療、地域学という異なる分野で専門性を発揮しつつ、インターネットを用いた新しい活動や、幅広い社会活動を展開するなど、現代において多様な顔を持つ稀有な存在と言えるでしょう。その活動は、俳句界のみならず、地域文化や社会全体に貢献しています。

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