五月橋 (名張川)

五月橋について

五月橋（さつきばし）は、三重県伊賀市と奈良県山辺郡山添村の名張川に架かる著名な橋です。この橋は国道25号の一部であり、その近くに位置する名阪国道の五月橋ICからその名が付けられています。また、名張川を越える名阪国道の橋には「新五月橋」と名付けられた橋も存在しています。

橋の歴史

五月橋の建設は、地域住民の長年の願いでありました。1917年に、波多野村の村長かつ奈良県議会の議長であった中西樽次郎が、旧波多野街道の改修計画を立案し、県からの補助金を得ることに成功しました。これにより、翌年から工事が開始され、1927年5月には奈良県と三重県が共同で五月橋の架設工事に取り組みました。1928年には橋が完成し、5月5日に渡橋式が行われました。

旧五月橋は、3つの径間を持ち、中央には大きなプラットトラスが設置されており、両岸の端にはオベリスク風の親柱が立っています。竣工当初は親柱の上部にランプも設置されていました。1931年、この橋の架設に尽力した中西樽次郎の功績を称える顕彰碑が夕暮れの左岸に建立されています。

しかし、徐々に老朽化が進み、耐震基準にも適合しなくなったため、両県は2017年から下流側に新たな橋の建設に着手しました。新しい五月橋は2020年3月23日に開通し、旧橋は2021年度中に撤去されることが予定されています。

周辺地域について

奈良県側の月ヶ瀬方向に向かう国道は、橋を渡った後に南へと曲がります。右へ折れると奈良県道4号笠置山添線へと進みます。また、橋の直近の大阪側では、奈良県道181号遅瀬西波多線と三重県道・奈良県道785号山添桔梗が丘線が合流する地点となっており、交通の重要な要所となっています。

名張川の下流には「月ヶ瀬橋」、上流には「新五月橋」が位置しています。

旧橋にまつわるエピソード

五月橋の奈良県側、国道25号を南へ700メートルほど進んだ地点には、旧波多野街道改修工事で架橋された遅瀬川に架かる「（旧）長尾橋」が存在しています。この橋は1926年頃に完成し、石橋のような意匠を持つ単径間のRCアーチ橋でした。1969年には国道の改良に伴い、新たに「（現）長尾橋」が完成したため、現在の長尾橋は使用されていませんが、旧波多野街道改修工事の貴重な土木遺産として残されています。

主要諸元

• - 橋名: 五月橋
• - 供用開始: 2020年3月23日
• - 橋の長さ: 92.5メートル
• - 幅: 車道 3.1メートル×2車線（全幅員 7.0メートル）
• - 位置: 三重県伊賀市治田 - 奈良県山辺郡山添村大字遅瀬

旧橋の情報

• - 構造形式: 3径間鋼プラットトラス (平行弦・下路)
• - 供用開始: 1928年
• - 総延長: 95.4メートル
• - 中央径間: 50.82メートル

五月橋はその歴史とともに、地域の交通と文化に深く根ざした重要な存在です。新しい橋が開通したことで、地域の発展が進むことが期待されています。

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