五木寛之の夜

五木寛之の夜

『五木寛之の夜』（いつきひろゆきのよる）は、1979年10月7日から2004年9月26日まで、TBSラジオで放送されていた冠番組です。この番組は、作家でありエッセイストの五木寛之が主催で、カネボウが一社提供していました。音声メディアとしては珍しい長寿番組となったこの番組は、実に25年もの間、多くのリスナーに親しまれました。

番組の特色と内容

番組では、五木が各界の著名人をゲストに迎え、対談を展開していました。さらに、五木は自身の近況を語ることや、リスナーから寄せられたメッセージを紹介する場面もありました。また、五木自身の著書をリスナーにプレゼントする企画も人気を博しました。

リスナーからの投稿は主にハガキと封書に限られており、特に抽選でのプレゼント応募には厳しい条件が設けられていました。具体的には、差出人の名前に振り仮名が付いていない場合、対象外とされるほどの厳しさでした。そして、当選者発表の際には、フルネームでの紹介が一般的でした。このことから、リスナーとのコミュニケーションを重視し、名を名乗ることの重要性を示していました。

テーマソングとオープニング

番組の初期には、『土曜日の夜の九時』（石黒ケイの歌唱によるオリジナルソング）がテーマソングとして使用されていましたが、後期には放送時間帯の変更に伴い、ジョー山中作曲の『哀しみのフローレンス』に変更されました。この曲は、五木の原作に基づく映画『戒厳令の夜』のテーマソングです。さらに、「深夜の友は真の友」というフレーズのモノローグがオープニングに用いられ、深夜に聴くリスナーたちとの親密さが表現されていました。

レギュラー放送と特別番組

2004年9月にレギュラー放送が終了した後も、この番組の影響力は続きました。特に、2023年4月28日には『五木寛之の夜 ふたたび』という特別番組がTBSラジオで放送され、一時的な復活を果たしました。この特番では、五木寛之と有乃衣里彩が新たに収録された音源に加えて、レギュラー放送中のアーカイブ音源を交えた内容が提供されました。五木はこの特番においても90歳ながら企画や構成を手掛け、引き続きリスナーとの絆を大切にしていました。

番組のネット局と放送時間

五木寛之の夜は、関東広域圏のTBSラジオを中心に、各地の関連局でも放送されていました。放送時間は時期によって異なり、初期は土曜日の21:00から始まりました。その後、深夜に移行し、最終的には日曜日の23:30からの放送が定着しました。様々な放送局が参加し、多くの地域のリスナーに向けても親しまれる存在となっていたのです。

影響と後の番組との関連

『五木寛之の夜』は、その独特なスタイルとリスナーとの深い関わり方から、後のラジオ番組にも影響を与えました。例えば、2017年から始まった『問わず語りの神田伯山』という番組には、この番組の影響がみられ、オープニングテーマやフレーズに共通点が多く見受けられます。これは、五木が築き上げたラジオ文化の一部を引き継ぐ形となっています。

このように、『五木寛之の夜』は文化的な影響を及ぼし続け、リスナーとの結びつきを大切にした番組であったと言えるでしょう。

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