五毛

五毛（ごもう）：神戸の静かな山里

神戸市灘区西部に位置する五毛は、現在も住居表示未実施の地域で、その大部分が山林に覆われています。都賀川支流の仙谷川西岸上流に広がり、周囲は、大石、長峰台、箕岡通、畑原といった地域に囲まれています。

五毛の静けさを特徴づけるのは、一面に広がる豊かな自然です。かつては水田が少なく、痩せた土地だったため、ゴマの栽培が主だったと言われています。この地名の由来も、この歴史に深く関係しています。「五毛」という地名は、「胡麻生（ごまう）」の当て字だと考えられています。ゴマがわずかに育つだけの貧しい土地であったことを示す、興味深い地名です。

歴史を紐解くと、五毛はかつて摩耶山天上寺の領地であったことがわかります。灯明の油を取るためのゴマが栽培されていたという説もあり、人々の生活と深く結びついた歴史が伺えます。現在では定住者はいないものの、その歴史は、静かに息づいていると言えるでしょう。

五毛には、小字として浅谷、池ノ谷、笹原、西山、丸山が存在します。これらの小字は、かつての生活圏や地形の変化を反映していると考えられ、五毛の歴史を探る上で貴重な手がかりとなります。

現在、五毛に残る施設は多くありませんが、セント・キャサリンズ・カレッジ神戸インスティチュートや灘丸山公園など、地域に根付いた施設がわずかに存在します。これらの施設は、現代社会の中で、五毛の自然と歴史を繋ぐ役割を担っていると言えるでしょう。

2005年の国勢調査では定住者は確認されていません。郵便番号は657-0801です。静寂に包まれた五毛は、神戸市の発展の歴史の中に、ひっそりとその存在感を保ち続けています。その静けさの中に、過去の生活や歴史の痕跡を感じ取ることができる、貴重な場所と言えるでしょう。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年。ISBN 978-4-343-00437-6。
灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年。

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