五百万石

五百万石について

五百万石（ごひゃくまんごく）は、主に日本酒の醸造に使用される特別なイネの品種です。この酒造好適米は、新潟県で新200号と菊水の交配によって誕生し、1944年に「交系290号」という名称が与えられました。しかしながら、第二次世界大戦の影響で栽培は一時停止となり、戦後、新潟県の奨励品種として復活しました。1957年に正式に品種登録され、その後数年の間に広く普及しました。

五百万石は、北陸地方を中心に栽培され、酒造好適米としては2001年まで作付け面積の1位を保持していました。その地位は山田錦に譲りましたが、現在も評価されており、2022年の生産量は2位を記録しています。

特性

五百万石の特徴の一つは、千粒重が25.8gであることです。また、この品種は早生であり、耐冷性や耐倒伏性においてはやや劣るものの、大粒の実を実らせることで知られています。さらに、心白の発現率が高く、品質の良い米とされています。ただし、心白が大きく、50%以上の高精白は難しいため、高級酒向きではないとされています。とはいえ、麹を作るのは比較的容易であり、酒質は清らかで端麗な風味が特徴です。

産業への影響

五百万石は、その優れた特性により、多くの酒蔵で利用されています。この品種がもたらす清冽な酒質は、多くの日本酒愛好家の支持を受け、酒造りにおいて欠かせない存在となっています。また、五百万石を基にしたさまざまな子孫の品種も存在し、これもまた日本酒の多様性を生み出しています。

五百万石の子孫の品種

五百万石から派生した品種には、以下のようなものがあります。

• - 古城錦（1968年生まれ、五百万石//青系50号）
• - 若水（1983年生まれ、あ系酒101//五百万石）
• - 兵庫北錦（1986年生まれ、なだひかり//五百万石）
• - 一本〆（1993年生まれ、五百万石//豊盃）
• - 石川酒30号（1993年生まれ、五百万石//華吹雪）
• - 越淡麗（2004年生まれ、山田錦//五百万石）
• - 人気しずく（2009年生まれ、五百万石の突然変異）

これらの品種は、それぞれの特色を生かした日本酒の醸造に寄与しており、五百万石が持つ遺伝的特徴が活かされています。

参考文献

• - 酒米ハンドブック（副島顕子著 文一総合出版 ISBN 978-4-8299-1133-4 2011年7月）
• - 近代日本の酒造り（吉田元著 岩波書店 ISBN 978-4-00-025934-7 2013年12月）

関連項目

• - 酒米

五百万石は、その優れた品質や歴史的背景から、日本酒文化の一翼を担う重要な存在です。

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