五藤為浄

五藤為浄：山内一豊に仕えた忠義の武将

五藤為浄は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。尾張国出身で、山内一豊に仕え、その忠義心と武勇で知られています。天文22年（1553年）、五藤浄基の子として誕生しました。

五藤家は代々山内家に仕えており、為浄も家督を継いだ一豊に従って数々の戦場を駆け巡りました。中でも有名なのは、金ヶ崎の戦いでの逸話です。この戦いにおいて、敵の矢が一豊の頬に命中する事態が発生しました。この時、五藤吉兵衛が素早く一豊の顔を踏みつけ、矢を抜いたのです。為浄は、主君である一豊の危機を救った吉兵衛の行動を喜び、その時のわらじと矢を家宝として大切に伝えていたと伝えられています。このエピソードは、為浄の主君への忠誠心と、危機における迅速な判断力を如実に示しています。

為浄の武勇は、数々の戦いで発揮されました。彼は、一豊と共に幾多の戦いを戦い抜きました。その勇敢な戦いぶりは、山内家臣団の中でも際立っていたと言えるでしょう。

しかし、為浄の生涯は、天正11年（1583年）の賤ヶ岳の戦いで幕を閉じます。この戦いにおける伊勢国亀山城攻撃の前哨戦で、為浄は主君・一豊が城内に一番乗りすることを献身的にサポートしました。その過程で、彼は壮絶な最期を遂げます。享年31歳でした。

為浄の死後、家督は養子の五藤浄清が継承しました。浄清は、為浄の弟・為重の娘を娶り、五藤家を支えました。為重自身も山内家の家老となり、一豊が土佐国に入国した際には、安芸土居を与えられ、その地を治めました。その後も五藤家は、幕末まで代々土佐藩の家老職を世襲し、その繁栄は為浄の忠義と武勇の礎の上に築かれたと言えるでしょう。

五藤為浄の生涯は、主君への揺るぎない忠誠心と、卓越した武勇、そしてその死後も続く五藤家の繁栄という、多くの側面から私たちに語りかけてきます。彼は、戦国時代の武将として、その名を残すにふさわしい人物であったと言えるでしょう。

彼の生き様は、数々のドラマや作品にも取り上げられており、現代においても人々に強い印象を与え続けています。代表的な作品として、『戦国夫婦物語「功名が辻」』（NET、1966年）、『旦那さま大事』（TBS、1986年）、『司馬遼太郎の功名が辻』（ANB、1997年）、『国盗り物語』（NHK大河ドラマ、1973年）、『功名が辻』（NHK大河ドラマ、2006年）などがあります。これらの作品を通して、為浄の生き様や人となりを知ることができるでしょう。

五藤為浄という一人の武将の生涯を通して、戦国時代の激動の時代と、人々の生き様を改めて見つめ直す機会を与えてくれると言えるでしょう。彼の忠義と武勇は、後世に語り継がれるべき、貴重な歴史遺産です。

もう一度検索