五間堂駅

五間堂駅（ごけんどうえき）

五間堂駅は、かつて石川県能美郡根上町五間堂（現在の能美市五間堂町）に設けられていた、北陸鉄道能美線の鉄道駅でした。この駅は能美線の廃線に伴って姿を消し、現在は廃駅となっています。

歴史

この駅は、大正時代にあたる1925年（大正14年）8月13日に、能美電気鉄道の停車場として営業を開始しました。開業から間もない同年10月には、駅の近隣にあった織物工場からの荷物を取り扱う目的で、一時的に荷役用の側線が設けられました。この側線は当時の地域の産業活動との関連を示すものですが、早期に撤去されたと記録されています。

その後、能美電気鉄道が金沢電気軌道に統合されたことにより、1939年（昭和14年）8月1日からは金沢電気軌道の駅となりました。さらに、戦時中の交通事業再編により、1943年（昭和18年）には金沢電気軌道などが合併して北陸鉄道が発足し、五間堂駅は北陸鉄道能美線の一駅としてその運営が引き継がれました。

しかし、時代が進むにつれて鉄道利用者が減少し、能美線は存続が困難となります。そして、1980年（昭和55年）9月14日に能美線全線が廃止されたことに伴い、五間堂駅もその歴史に終止符を打ち、廃駅となりました。

駅構造

五間堂駅は地上駅で、晩年においては線路が一本のみの1面1線構造となっていました。駅の施設としては、旅客が列車を待つための木造の簡易待合室が設けられていました。駅員の配置に関しては、かつては駅員が勤務していた時期もあったようですが、能美線が廃止される直前には無人駅として営業されていました。駅のホームは、敷設されていた線路の北側に位置していました。

隣接駅

北陸鉄道能美線が運行されていた時期において、五間堂駅の両隣には以下の駅がありました。

* 寺井西口駅 - 五間堂駅 - 中ノ庄駅

寺井西口駅から五間堂駅を経て、中ノ庄駅へと列車が運転されていました。

現状

能美線の廃止から長い年月が経ち、五間堂駅の跡地は地域のための施設として活用されています。現在、駅のあった場所には公民館が建てられており、地域住民の活動拠点や交流の場として利用されています。また、かつてこの場所に鉄道駅が存在したことを後世に伝えるため、当時のものにならった駅名標が再現されて設置されています。これにより、駅を知らない世代の人々にも、地域の歴史の一端を垣間見せるとともに、かつての賑わいを偲ばせる存在となっています。

五間堂駅は、その開業から廃止までの約55年間、能美線の一部として沿線住民の生活や地域の産業を支える役割を担っていました。今は公民館として地域に貢献する形で、その場所に駅の記憶が受け継がれています。

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