井上吉夫

井上 吉夫について

井上 吉夫（いのうえ きちお、1923年3月1日 - 2003年10月24日）は、日本の政治史において重要な役割を果たした政治家である。彼は参議院議員を5期務め、複数の国務大臣職にも就任した。特に北海道開発庁、沖縄開発庁、国土庁の長官としての経歴が知られている。

生い立ちと教育

井上は鹿児島県の出水町で、地主かつ豪農の家庭に生まれた。彼の家族は政治活動にも関与しており、祖父は村会議員を務めていた。旧制鹿児島県立出水中学校を卒業後、1942年に旧制熊本高等工業学校の採鉱冶金科を卒業し、当時の日本鉱業に就職。四国にある白滝鉱山での勤務を経て、召集されることとなった。

政治人生の始まり

復員後、井上は実家の農林業に従事しつつ、青年団活動に参加。1951年には出水町議職に当選し、出水町と市の合併後、1954年から1958年まで出水市議も務めた。1961年には初代の出水市森林組合長に就任し、1963年には鹿児島県議会議員に初当選する。

国会議員としての活動

政治的キャリアが進む中、井上は1974年に第10回参議院議員通常選挙で鹿児島県選挙区から自民党公認候補として初当選を果たす。その後、自民党内で田中派に所属し、1987年に経世会が結成されると、二階堂グループに加わる。彼は大蔵政務次官、参議院農林水産委員長、予算委員会理事を歴任した。

1989年6月には宇野内閣で北海道開発庁長官と沖縄開発庁長官に就任するが、内閣の短命によりわずか2ヶ月の在任に留まった。1990年、二階堂グループの解散を経験し、竹下派に転籍。

重要な役職と再入閣

井上はその後、参議院予算委員長、裁判官弾劾裁判所の裁判長、自民党の参議院議員会長としての重要な役割を果たす。しかし、党内事情により参議院議長候補にはなったものの就任には至らなかった。1998年7月、小渕内閣において再び北海道開発庁長官と沖縄開発庁長官に就任し、10月からは国土庁長官も兼任することとなった。

最後の年と死去

井上は1999年に秋の叙勲で勲一等旭日大綬章を受章。彼の議員としての在職中、心不全により2003年10月24日に鹿児島県出水市の病院で亡くなった。享年80。彼の死は政治界に大きな影響を与え、次年度の参議院選挙には出馬しないことを表明していた。位階は正三位とされ、彼の生涯は日本の政治史において輝かしい業績の一つとなっている。

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