国土庁

国土庁（こくどちょう）

国土庁は、日本における国土利用を専門に扱う中央省庁として1974年に設立され、2001年に国土交通省へと統合されるまでの間、日本各地の地域整備と開発に関する重要な役割を果たしてきました。国土庁の設立は、1970年代の日本において経済成長を背景にする「列島改造ブーム」の中で進められた国土総合開発の必要性から生まれたものでした。

設立の経緯

1972年、田中角栄内閣が誕生すると、日本全体が都市化と経済開発の動きに巻き込まれていきました。これに伴い、内閣は国土の利活用をしっかりと管理し、計画的に開発を進める必要があると痛感し、同年には「国土総合開発本部」を設置しました。この本部の活動の一環として、さらに国土に関する計画や調整を担う機関の必要性が議論され、1974年に国土庁としてその形が整えられました。国土庁には、内閣国土総合開発本部や経済企画庁、そしていくつかの地域整備機関の機能が集約され、広範な国土政策の実施が求められることとなりました。

国土庁の業務

国土庁の設立後、同庁は国土の整備を促進し、地域の振興、都市計画、土地利用と関連する様々な政策を実行に移していきました。具体的な業務としては、以下の部門が設置され、それぞれが専門的役割を担っていました。

• - 長官官房: 国土庁の運営全般を管理
• - 水資源部: 水資源の保全管理
• - 計画・調整局: 国土利用計画の立案・調整
• - 土地局: 土地の利用状況の調査や施策
• - 大都市圏整備局: 大都市圏の整備・発展
• - 地方振興局: 地域振興のための施策
• - 東北開発室: 東北地方の開発支援
• - 防災局: 自然災害対策と防災対応

移転と再編

国土庁の本部は、設立当初は郵政省の一部の施設に入居していましたが、その後1983年には中央合同庁舎第5号館に拡張移転しました。このように庁舎の移転が行われる中でも、国土庁は国土政策の実行に力を入れ、様々なプロジェクトを推進しました。

しかし、2001年1月6日に実施された中央省庁の再編により、国土庁は運輸省、建設省、北海道開発庁と統合され、新たに「国土交通省」が設立されました。これに伴い、防災行政の機能は内閣府に移管され、国土庁としての役割は終焉を迎えることとなりました。

国土庁の存在は、日本が経済成長を遂げる中で国土の持続的な資源管理と開発を考える上で、重要なビジョンを提供しました。その後の国土交通省へと引き継がれた理念と政策は、現在の日本の国土政策の基盤となっています。

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