井上喜久子のトワイライトシンドローム

『井上喜久子のトワイライトシンドローム』とは

声優の井上喜久子がパーソナリティを務めたラジオ番組、『井上喜久子のトワイライトシンドローム』は、1995年4月14日から同年10月6日までの期間、文化放送にて放送されました。この番組は、当時ヒューマンより発売されたPlayStation用ホラーアドベンチャーゲーム『トワイライトシンドローム』の販売促進を主な目的として企画、制作されたものです。

番組の特色とパーソナリティ

本番組は、井上喜久子さんにとって記念すべき初のラジオレギュラー番組でした。当時の井上さんは、まだラジオパーソナリティとしての経験が浅く、特にフリートークの部分では苦労したと後に語っています。番組開始当初は、自然な会話の進行が難しく、フリートークのパートであっても、構成作家が用意した台本に沿って一言一句話していたことを、後年の様々な機会で明かしています。このエピソードは、彼女がパーソナリティとして成長していく過程を示すものとして、ファンの間でもよく知られています。

また、番組の特徴の一つとして、当時としてはまだ珍しかった電子メールによるお便りの受け付けを積極的に行っていた点が挙げられます。ただし、その対象はパソコン通信サービスのニフティサーブ会員に限られていました。現在では当たり前のインターネットを通じたコミュニケーションの黎明期において、先進的な取り組みであったと言えるでしょう。

主なコーナー紹介

番組は、ホラーゲームに関連した企画を中心に、様々なコーナーで構成されていました。中でも中心的な存在だったのが、以下のコーナーです。

ダークサイド オブ ザ スクール
リスナーの皆さんから、自身の通う学校や身の回りで実際に囁かれている怖い噂や怪談、都市伝説などを募集し、それを基に番組オリジナルのホラードラマを制作して放送する人気コーナーでした。このドラマは、途中に複数の分岐点が設けられており、パーソナリティの井上さん、またはゲストが提示された選択肢の中から一つを選ぶことで、その後のストーリー展開が変化するというインタラクティブな要素を持っていました。選択によってハッピーエンドにもバッドエンドにもなり得るというスリリングな内容で、リスナーも固唾をのんでその行方を見守りました。特に印象的なエピソードとして、ある回のドラマで、微妙な選択肢を選ぼうとした際に、まるで天の声のような「ホントにそれでいいの？」という警告音声が流れたにも関わらず、その声に逆らって選択を進めた結果、番組史上初のバッドエンドを迎えてしまった回があります。この回はゲストに緒方恵美さんを迎えて放送された、1995年8月25日放送分でした。

こわ〜い考えになってしまった
日常生活の中で、ふとした瞬間に頭の中に浮かんでしまった、漠然とした不安や、ゾッとするような怖い考えをリスナーから募集し、紹介するコーナーです。理屈では説明できない、心にまとわりつくような「怖い考え」に焦点を当てていました。

ホラー見たことか
このコーナーでは、世間的にはあまり知られていないものの、ホラーファンにとっては隠れた名作とされるようなホラー映画を紹介しました。ゲームとも関連性の高いホラーというジャンルを、多角的に掘り下げる内容でした。

お姉ちゃんに聞け〜
リスナーから寄せられる様々な質問に対し、パーソナリティの井上喜久子さんが「お姉ちゃん」として、時に優しく、時に面白く答えるコーナーでした。ゲームやホラーとは直接関係なく、リスナーと井上さんのパーソナルな交流を深める場となりました。

『井上喜久子のトワイライトシンドローム』は、ゲーム販促という目的を果たしつつも、パーソナリティである井上喜久子さんの成長を見守る番組であり、リスナーとの双方向性を重視した、当時のラジオ番組としては先進的な側面も持つ番組でした。その半年間の放送は、多くのリスナーの記憶に残るものとなっています。

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