井上学

井上 学（いのうえ まなぶ）

1978年11月1日に愛知県名古屋市で生を受けた井上 学は、日本のプロ総合格闘家としてその名を刻んでいます。上智大学外国語学部ドイツ語学科を卒業という異色の経歴を持ち、C.A.C.C.スネークピットジャパンに所属し、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン（CACC）を基盤としたファイトスタイルを確立しました。彼はパンクラスの元バンタム級キング・オブ・パンクラシストとして知られています。

キャリアの始まり

大学時代は格闘技とは無縁の美術研究会に籍を置いていましたが、就職活動を迎える大学4年生の時に、U.W.F.スネークピットジャパンの門を叩きます。ここでカール・ゴッチ直伝のCACCの技術を深く学び、総合格闘家としての基礎を築き上げました。

アマチュア大会で頭角を現し、2004年11月には第6回アマチュアパンクラスオープントーナメントの60kg未満級で優勝を果たします。この実績を引っ提げ、プロの舞台へと進出しました。

プロでの活躍と王座獲得

プロ転向後、2005年にはネオブラッド・トーナメントのフェザー級（-64kg）で優勝し、その実力を証明します。

そして2008年12月7日、井上選手にとって大きな転機が訪れます。バンタム級への階級変更を行い、新たな階級での初戦として初代バンタム級キング・オブ・パンクラス決定戦に臨みます。この歴史的な一戦で川原誠也選手と対戦し、得意のグラウンド技術を活かしたチョークスリーパーで一本勝ちを収め、見事に初代バンタム級のベルトを獲得しました。

王者としての戦い

チャンピオンとなった井上選手は、防衛戦や他団体との交流戦で強豪たちと拳を交えました。

2009年10月25日: 王座をかけない一戦として、元修斗世界フェザー級（-60kg）王者の大石真丈選手と対戦。修斗王者とパンクラス王者が公式戦ではないものの対戦するのは、この時が史上初の出来事であり、大きな注目を集めました。試合はフルラウンドにもつれ込む接戦の末、井上選手が3-0の判定で勝利を収めました。
2010年9月5日: バンタム級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチで挑戦者の赤井太志朗選手と対戦。巧みな試合運びで試合を優位に進め、2-0の判定勝ちを収め、王座の初防衛に成功しました。

SRC参戦とトーナメント

2010年には、当時勢いのあった他団体SRC（戦極）が開催した「SRCバンタム級ASIAトーナメント2010」にパンクラス推薦選手として出場します。

2010年10月30日（SRC15）: シード出場として、準々決勝で韓国のソ・ジェヒョン選手と激突。ここでも判定ながらも堅実な試合運びを見せ、3-0で勝利し準決勝に進出しました。
2010年12月30日（戦極 Soul of Fight）: 準決勝で清水俊一選手と対戦。しかし、この試合では清水選手の前に苦戦を強いられ、0-3の判定負けを喫し、トーナメント制覇はなりませんでした。

王座の行方

SRCでの敗戦を経て、再びパンクラスのリングに戻ります。

2011年5月3日: バンタム級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチで、自身が王座を獲得した相手である川原誠也選手と再び対戦。初回対戦とは異なり判定での決着となりましたが、2-0で勝利し、2度目の王座防衛に成功しました。
2011年12月3日: バンタム級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチで、石渡伸太郎選手を挑戦者に迎え撃ちました。しかし、この試合では石渡選手の猛攻の前に苦戦を強いられ、0-3の判定で敗北。惜しくも王座を陥落しました。

井上 学は、大学で美術を学んでから格闘技の世界に飛び込み、独自のバックボーンを武器にパンクラスの頂点に立ち、他団体でも実績を残した、日本の総合格闘技界における個性的なファイターの一人です。

獲得タイトル:

第6回アマチュアパンクラスオープントーナメント 60kg未満級 優勝（2004年）
パンクラス ネオブラッド・トーナメント フェザー級 優勝（2005年）
* 初代バンタム級キング・オブ・パンクラス王座（2008年）

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