井上書院

井上書院は、1954年に井上精二によって設立された日本の出版社であり、主に建築関連の書籍を出版しています。創業当初は、建築実務に関する書籍を中心に手掛けていました。

1988年には、創業35周年を記念する事業として、江戸時代の棟梁である平政隆が著した建築書『愚子見記』を刊行しました。この書籍は、単なる木割書としてだけでなく、当時の建築全書としての側面も持っており、建築史家の内藤昌氏によれば、以前から「幻の名著」として知られていたそうです。

『愚子見記』の刊行について、建築史家の太田博太郎氏は「びっくりした」と述べ、内藤昌氏は「井上書院の壮図に感激した」と語っています。このことからも、『愚子見記』の復刊が建築界に与えた影響の大きさがうかがえます。

また、井上書院から刊行された大野隆造氏の著書『人間工学−安全で心地よい環境をつくる』は、2016年に日本建築学会賞著作賞を受賞しています。この受賞は、井上書院が出版する書籍の質の高さを証明するものであり、同社の建築界への貢献を示すものでもあります。

井上書院は、建築実務者向けの専門書から、歴史的な価値を持つ建築書まで、幅広い分野の書籍を出版することで、日本の建築文化の発展に貢献しています。特に、『愚子見記』の復刊は、長らく埋もれていた貴重な文献を再び世に送り出すという点で、高く評価されています。

同社は、これからも建築に関する質の高い書籍を出版し続けることで、建築界の発展に寄与していくことが期待されています。

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