太田博太郎

太田博太郎の建築史における功績

太田博太郎（おおた ひろたろう）は、1912年11月5日に東京で生まれ、2007年1月19日に逝去した日本の建築史家です。彼は東京大学の名誉教授であり、日本学士院の会員でもありました。また、九州芸術工科大学の学長を務めた実績も持つ、建築界の重鎮です。

幼少期からの関心と経歴

彼の建築への興味は、武蔵高校在学中から始まりました。この学生時代には、奈良や京都の古建築に深く親しむことになります。東京帝国大学の工学部建築学科では建築史を専攻し、1943年には東京大学の助教授に就任しました。1960年には教授に昇格し、1957年には学位論文『中世建築の基礎的研究』を提出し、工学博士の学位を取得しました。
1973年に東京大学を退職した後は名誉教授となり、その後も武蔵野美術大学で教鞭を執りました。1974年には九州芸術工科大学の学長にも就任し、また複数の教育機関での職務を通じて、多くの学生に影響を与えました。特に武蔵学園長としては1978年から1990年までの長期間にわたってその職を全うしました。
また文化財建造物保存技術協会の理事長としても貢献し、1997年には日本学士院会員に選出されました。

受賞歴と栄典

太田氏は、その学問的成果に対しても多くの評価を受けています。1954年の日本建築学会賞（論文）を皮切りに、1963年に日本建築学会賞（業績）、1976年には毎日芸術賞、1984年には勲二等旭日重光章を受賞。1989年には日本建築学会大賞も受けるなど、彼の業績は広く認知されています。

研究と業績

太田博太郎の研究分野は、日本建築史に広がります。彼の代表作『日本建築史序説』は、日本の古代から明治時代に至る建築の歴史を包括的に捉えた名著として高く評価されています。また、彼は「大仏様」や「禅宗様」という用語を提唱し、これらの概念も建築史に新たな視点をもたらしました。

第二次世界大戦後には、一般庶民の住宅や民家の研究にも力を入れ、これらの建物に関する研究を進めました。加えて、文化財の修理や保存事業にも力を注ぎ、法隆寺や薬師寺、平城宮などの修復や再建に関与したことでも知られています。長野県の妻籠宿の町並みの保存にも関わり、建築物だけでなく地域の文化的価値の保持にも尽力しました。

主な著書

太田博太郎は、多くの著書を残しています。代表的な著書には以下が含まれます。

• - 『法隆寺建築』（1943）
• - 『日本建築史序説』（1947、増補第3版 2009）
• - 『図説日本住宅史』（1948、新訂1971）
• - 『中世の建築』（1957）
• - 『日本の建築』（1968）
• - 『日本住宅史の研究』（1984）
• - 『社寺建築の研究』（1986）
• - 『太田博太郎と語る日本建築の歴史と魅力』（1996）

これらの著作は、建築愛好家や学生のみならず、一般の読者にも広く読まれる重要な資料です。

太田博太郎の業績は、日本の建築史を深く理解するための大きな礎となり、その影響は今なお受け継がれています。

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