井上英

井上英（いのうえ えい / ひで、1886年（明治19年）12月 - 1975年（昭和50年）4月2日）は、日本の内務・警察官僚、そして政治家として、その名を歴史に刻みました。埼玉県に生まれ、旧姓を村田と称しました。彼は、激動の時代を生き抜き、地方行政の発展に大きく貢献した人物です。

生い立ちと初期のキャリア

村田謙吉の次男として生まれた井上英は、後に井上家の養子となり、その姓を改めました。第四高等学校を卒業後、1912年11月には文官高等試験行政科試験に合格。翌1913年には、東京帝国大学法科大学政治学科を卒業しました。その卓越した能力は、早くから官僚としての道を切り開くことになりました。

内務省での活躍

大学卒業後、井上英は内務省に入省し、福井県属としてキャリアをスタートさせました。その後、福井県警視、同理事官、長野県理事官、大阪府理事官、茨城県警察部長、熊本県書記官・警察部長、新潟県書記官・警察部長、京都府書記官・警察部長といった要職を歴任。これらの経験を通じて、彼は内務官僚としての実力を磨き上げ、地方行政の中枢を担う存在となっていきました。

佐賀県知事から台湾総督府へ

1930年7月、井上英は佐賀県知事に就任しました。在任中は、風水害からの復旧や教育調査会の設置に尽力し、県政の発展に貢献しました。その後、1931年1月には台湾総督府警務局長に転任し、1932年1月までその職を務めました。この時期、彼の行政手腕は、台湾においても発揮されました。

市長としての活躍

官僚を退いた後、井上英は政治家としての道を歩み始めます。旭川市長を経て、1938年12月には新潟市長に就任（二期、1946年11月まで）。新潟市長としての在任期間は、戦中戦後という激動の時代と重なりましたが、彼は市政の運営に尽力し、市民の生活を支え続けました。

戦後の公職追放

しかし、第二次世界大戦後、井上英は公職追放となり、政治の世界から一時的に退くこととなりました。これは、戦後の混乱期における、彼のキャリアにおける大きな転換点となりました。

井上英の生涯は、内務官僚、政治家として多岐にわたる分野で活躍し、その足跡は日本の地方行政史に深く刻まれています。彼の業績は、後世に語り継がれるべき重要な歴史の一部です。

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