井本勇

井本勇（いもと いさむ）は、1925年9月17日に佐賀県唐津市久里で生まれ、2018年4月23日に92歳で亡くなった日本の政治家です。佐賀県知事を1991年から2003年までの3期12年務めました。また、佐賀清和学園の元理事長、認定NPO法人地球市民の会の元顧問も務めていました。

経歴

旧制武雄中学校（現在の佐賀県立武雄高等学校）を卒業後、1947年に佐賀県の地方事務所に採用されました。その後、経済部次長、総務部長などを経て、1982年から2期にわたり副知事を務めました。1991年の知事選挙では、自民党、民主党、公明党、社会党の推薦を受け、初当選を果たしました。知事在任中は、吉野ヶ里遺跡の歴史公園整備、世界・焱の博覧会の開催、佐賀空港の開港など、県政の発展に大きく貢献しました。毎回30万票以上の圧倒的な得票数で当選を重ね、県民からの信頼も厚く、2003年に後継者を指名することなく引退しました。同年11月3日には、長年の功績が認められ、旭日重光章を受章しています。

裁判

佐賀商工共済協同組合の粉飾決算を巡る訴訟

井本が知事在任中に、佐賀商工共済協同組合が粉飾決算を行い経営破綻した問題が発生しました。佐賀県は、井本が粉飾を把握していながら適切な対策を講じなかったとして、県が元組合員に支払った損害賠償の一部を井本に求償しました。しかし、井本は支払いを拒否したため、佐賀県は2008年8月27日に佐賀地方裁判所へ求償請求訴訟を提起しました。

裏金を巡る訴訟

1993年から1998年にかけて、佐賀県庁内でコピー機の使用料をリース会社に水増し請求させることで裏金が作られていたことが発覚しました。市民グループは、この件に関して井本を相手取り訴訟を起こしました。一審の佐賀地方裁判所は市民グループの請求を認めましたが、控訴審の福岡高等裁判所は一審判決を破棄し、市民グループの請求を棄却しました。

井本勇は、県政に多大な貢献をした一方で、在任中の問題で訴訟にも関わることとなりました。しかし、県民からの信頼は厚く、その功績は今も語り継がれています。

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