亘理厚

亘理厚 - 自動車振動の研究の先駆者

亘理厚（わたり あつし、1917年5月13日 - 1983年1月24日）は、日本の著名な機械工学者であり、東京大学の名誉教授として自動車の振動および騒音研究の先駆者と知られています。彼の研究は、自動車技術の進歩に大きく貢献し、乗り心地の向上に寄与しました。

略歴

亘理は1941年に東京帝国大学工学部航空学科を卒業し、同年の4月に中島飛行機株式会社に入社しましたが、即日で休職。その後、陸軍航空技術学校に入校し、1941年8月には陸軍航空技術研究所に所属しました。戦後、東京帝国大学の助教授を経て、1952年には工学博士の学位を取得し、1956年に東京大学の教授に就任しました。

彼はまた、1960年11月からばね技術研究会の会長を務め、1976年には日本機械学会の会長に就任し、多様な分野で顕著な影響力を発揮しました。1978年に東京大学を退職し、日本自動車研究所の所長に就任し、その後名誉教授の称号を受けました。

受賞・叙勲

亘理の業績は高く評価され、数々の賞を受賞しています。その中には、1953年の日本繊維機械学会賞、1970年の日本機械学会賞、1978年の交通文化賞などが含まれます。また、1983年には勲三等旭日中綬章を授与されています。

研究業績

彼の研究キャリアは多岐にわたり、特に自動車に関する振動研究においては1950年から取り組みを始めました。自動車の振動を緩和し、乗り心地を向上させる方法について理論的かつ実験的に解析し、懸架ばねやショックアブソーバー、エンジンの支持方法などに取り組みました。

また、戦時中の航空技術研究所での経験を経て、戦後は航空機関連の研究が禁止されたため、スピンドルの高速回転化を目指して工学博士を取得しました。この研究活動は、自動車振動研究への道を開くこととなり、彼が自動車の振動と騒音研究の第一人者として名を馳せる基盤となりました。

論文

亘理は数多くの論文を執筆しており、彼の研究成果は学術誌に広く発表されています。代表的な論文としては、星型エンジンにおけるピストン運動の近似式についての研究や、自動車用の重ね板ばねに関する論文があります。これらは、自動車工学の発展に寄与した貴重な成果です。

まとめ

亘理厚の業績は、自動車の振動と騒音に関する研究のみならず、機械工学の発展にも大きな影響を及ぼしました。彼の研究の成果は、現代の自動車技術に多くの貢献をしており、その功績は今なお評価されています。彼の生涯は、科学と工学の架け橋を築いた人物として記憶されるべきです。

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