交換機

交換機とは

交換機は、電気通信において、多数の通信端末間で効率的な通信を可能にするための中心的な装置です。発信者の要求に応じて伝送路間の接続を切り替え、最適な通信回線を構成します。これにより、多数の端末が相互に通信する際に、回線を効率的に共有し、少ない回線数で多くの通信を可能にします。

交換機の役割

もし交換機を使用せずに、すべての端末間を専用線で接続しようとすると、端末数が増えるにつれて必要な伝送路の数は膨大になります。例えば、6台の電話機を相互に接続するためには、15本の伝送路が必要になります。交換機を用いることで、これらの伝送路を共有し、通信の効率を大幅に向上させることができます。

初期の交換機は、電話機から送られるダイヤル信号を直接受け取り、その信号に基づいて接続を確立していました。この方式では、電話番号と接続経路が1対1で対応していましたが、経路が長くなったり、冗長性に欠けるという課題がありました。

その後、交換機に電話番号を格納し、空いている回線を動的に選択するクロスバ方式の交換機が導入されました。これにより、より効率的な回線利用が可能になりました。現代では、通話と制御信号を分離する共通線信号方式が用いられ、さらに高度な通信制御が実現しています。

交換機の種類

交換機には、様々な種類があります。

非同期伝送(ATM)交換機：高速データ伝送に適した交換機。
同期デジタルハイアラキー(SONET/SDH)交換機：光ファイバーネットワークで用いられる交換機。
フレームリレー交換機：可変長のデータフレームを効率的に伝送する交換機。
パケット交換機：データをパケットに分割して送受信する交換機。
電話交換機：音声通信を主な目的とする交換機。

これらの交換機は、それぞれ異なる通信方式や用途に対応しており、ネットワークの構成や通信要件に応じて使い分けられます。

交換機の機能

交換機は、以下のような様々な機能を持っています。

加入者回線接続機能（BORSCHT）

この機能は、加入者の電話機を交換機に接続するためのもので、頭文字をとって「BORSCHT」と呼ばれています。

Battery feed：通話に必要な電力を供給します。(-48V)
Over voltage protection：過電圧から加入者回線を保護します。
Ringing：呼出信号を送信します。(75V・16Hz)
Supervision：加入者線の状態を監視し、発呼や終話などを検出します。
Codec (Coder/Decoder)：アナログ信号とデジタル信号を相互変換します。
Hybrid：2線式と4線式の信号を変換します。
Test：回線の試験を行う機能を提供します。

中継回線制御機能

経路選択：効率的な通信のために最適な経路を選択します。
輻輳処理：通信が集中した際に、優先度の高い通信を保護し、低い通信を制限します。

管理機能

故障検出：故障を検出し、代替機への切り替えや警報を行います。
料金計算：サービスの種類、通信時間、通信距離などを基に料金を計算します。

回線交換の動作

回線交換方式では、以下の手順で通信が行われます。

1. 発呼検出：発信者が電話をかけると、それを検出します。
2. 選択信号受信：相手先の電話番号を受信します。
3. 翻訳：受信した電話番号を基に、接続先を特定します。
4. 出線選択：利用可能な回線を選択します。
5. 呼出信号送出：着信側に呼出信号を送ります。
6. 応答検出：着信側が応答したことを検出します。
7. 通話路形成：発信者と着信者の間の通信路を確立します。
8. 終話検出：どちらかが通話を終了したことを検出します。
9. 通話路開放：確立された通信路を解放します。

通話路網の構成

通話路網は、通信回線を相互に接続し、情報を伝送する回路網です。大きく分けて以下の2種類があります。

非閉塞スイッチ回路網：すべての入線と出線を自由に接続できる回路網です。ただし、規模が大きくなると接点数が膨大になるため、小規模なシステムに用いられます。
閉塞スイッチ回路網：接続可能な回線に制約がある回路網です。大規模なシステムでは、接点数を削減するために、このタイプの回路網が用いられます。

まとめ

交換機は、電気通信ネットワークにおいて不可欠な要素です。初期のアナログ交換機から、現代のデジタル交換機、さらに様々なネットワークに対応した特殊な交換機まで、その役割は多岐にわたります。交換機の進化は、通信技術の発展と密接に関わっており、今後の技術革新にも大きく貢献していくでしょう。

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